河出ブックス
日本の植民地建築―帝国に築かれたネットワーク

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  • サイズ B6判/ページ数 230p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784309624068
  • NDC分類 523.2
  • Cコード C0321

出版社内容情報

かつての日本帝国が東アジア地域に植民地支配を広げた背景には、人・物・情報のネットワークがあった。――植民地建築を鍵に支配の実態と深度を問い直す。

内容説明

日清戦争から第二次世界大戦にかけて、東アジア各地に出現した日本支配地には、数多くの建物が日本人の手によって建てられた。それを植民地建築と呼ぶが、それらが成立した背景には、建築家などの人、セメントなどの物、雑誌などの情報が支配地相互に移動することを可能にしたネットワークがあった。それを解き明かしながら植民地建築の本質と植民地支配の実態を示す。

目次

序章 なぜ植民地建築を語るのか
第1章 植民地建築
第2章 支配機関の建築組織と建築家
第3章 植民地建築を支えた物
第4章 植民地建築を支えた情報
第5章 植民地建築とネットワーク
終章 植民地建築のその後

著者等紹介

西澤泰彦[ニシザワヤスヒコ]
1960年愛知県生まれ。名古屋大学卒業後、東京大学大学院、中国・清華大学留学、豊橋技術科学大学助手を経て、名古屋大学大学院環境学研究科准教授。専門は建築史。2009年日本建築学会賞(論文)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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更紗蝦

14
個々の植民地建築の様式や意匠を見ていくことよりも、建築組織としてのネットワークの観点で、建築家の異動や建材の輸送などに注目している本です。満州事変以前の日本は西洋建築を規範とした建物を建てる必要があったが、満州事変以降は他国に支配能力を認めさせる必然性がなくなった…との指摘は、当時の国際社会の中の日本のポジションの変化が読み取れて、興味深かったです。「植民地建築が支配と関係するという前提を、そのまま結果として語る危うさ」への指摘は、日本の植民地政策に関する本を読む際には心に止めておこうと思いました。2018/04/16

misui

8
東アジアの日本の植民地建築における人・物・情報の様相を論じる。日本を経由せずに支配地相互間の移動があり、列強支配の都市から実地に学ぶ機会が多かったことから、日本の植民地建築は世界水準に達していた。また、台湾などでは風土の特性から鉄筋コンクリートの改良が進められている。当時の「辰野式」の影響の大きさやコンペの様子もわかって興味深い。2014/12/08

oDaDa

5
日本によるコロニアル建築の建物そのものを網羅的に織り込んでいるのかと思いきや、かなり専門的な内容でこれはこれで面白い。ただ、コロニアル建築なんてまだまだ趣味の域を出ないジャンルだろうな。特に面白かったのは、日本のコロニアル建築は列強との対抗上、西洋的建築様式を取り入れていたが、満州事変をきっかけに欧米諸国と日本との東アジア支配の構造的変化が起こったことにより、建築様式自体にも変化がおとあったということ。列強の目を気にせず中国風の屋根を被せた「帝冠様式」が出現したこと。旧朝鮮総督府庁舎が残っていないのは残念2014/01/17

CJ

1
植民地時代の満州、韓国、台湾等の日本人による建築物を紹介しつつ、それに関わる人や組織の動き、物資の流れ等を追った一冊。植民地で日本式ではなく西洋式の意匠で建築がなされたのは、植民地への示威効果とともに、欧米に対する意識もあったというのが興味深かった。各地域の組織で、日本でなく現地や他の植民地で経験を積んだ人材を優先して集めていたのは納得。あと、シロアリの被害が多い台湾で木造に代わって鉄筋コンクリートが早く普及したものの、その劣化も最初に表面化したというのが面白かった。2015/04/13

Teo

1
本書は「日本植民地建築論」のダイジェスト版として計画されたものだそうだ。確かにそう言う分厚い本は見た記憶がある。重いので電車の中で読めそうになくて見送ったが、それのダイジェスト版だったか。日本の植民地における建築の中からいくつか抜粋しての説明と、それ以外に植民地建築における物と人と情報に関する流通の考察。余裕があるのなら日本植民地建築論の方を読んだ方が良いかもしれない。2009/11/17

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