内容説明
雨のハイウェイで、ヒッチハイカーを拾った精神分析医。解体されているのは、こいつなのか俺なのか―。嘘、嘘、嘘、嘘、みんな嘘っぱち。洒落た悪ふざけか、洗練された悪趣味か。壁の中のコカイン。害虫との共同生活。異性恐怖症者が飼う巨人。刑務所の創作教室…退屈な通俗性を揺さぶり、ツマラナイ日常をひっくり返す、現代イギリスを代表する奇才の本邦初短篇集。
著者等紹介
セルフ,ウィル[セルフ,ウィル][Self,Will]
1961年ロンドン生まれ。オックスフォード大学哲学科卒。91年にThe Quantity Theory of Insanityで衝撃のデビューを果たしたのち、作家、ジャーナリスト、テレビ・ラジオのパーソナリティと多方面で活躍し、数々の新聞雑誌に時事評論やコラムや書評を寄稿するほか、他作家の作品の序文なども精力的に書いている。妻、三人の子とともにロンドン在住
安原和見[ヤスハラカズミ]
鹿児島県生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
35
「嘘嘘嘘嘘嘘、みんな嘘っぱち」という帯にやられた奇想コレクション。薬によるトリップと普通のはずなのにそんな状況だからこそ掴めない曖昧な混乱。蠅取り紙にびっしり、くっついている蠅などの虫への嫌悪から共同生活の持ちかけに応じたことへの親近感に対しての恋人への嫌悪、その逆襲に至るプロセスが逸品な「虫の園」、世代交代と西洋経済の崩壊を予言するような「ヨーロッパに捧げる物語」がお気に入りです。2013/07/07
loanmeadime
11
八編からなる短編集です。解説によれば著者の作品としては読みやすい部類だそうで、そうであるならば、4mの子供が出てこようが、身長18mの男がボルボを運転しようが受け入れざるを得ないのか、と思います。人を自分自身から守る巨大な子供エモートが、大人を寝かしつけてから行為に及ぶという「愛情と共感」は、いろんな所に施される規制の向こう側で施行者たちがやっているかもしれないことを窺わせます。2025/07/04
syachi
5
比較的読みやすい話もあったと思ったら訳者いわくまともな話もかけるんだアピール位のものとか。そんなこんなで意味わからんけどクスッとくる「やっぱりデイヴ」とか皮肉な「愛情と共感」とか色々面白かったな。2015/09/27
5〇5
4
この作品集はまさにクセスゴだ。編者曰く「意表をつくオチに思わず吹き出しながら、『人をばかにしているのか』とむかつき、それと同時にみょうな不安をかきたてられる」。風刺らしいが何を風刺しているかわからない。理解しようとすると振り回される。ただ、異様なヒトと異様な状況が絡み合い、妙な世界へ紛れ込んだようなトリップ感がある。😐2025/03/14
shamrock
3
イカれてるよ(誉め言葉)2010/04/08