内容説明
日本を代表するシャーロッキアンによる新訳全集。全12編を、「ストランド・マガジン」に掲載された初出の順番どおりに初めて収録!精緻かつ権威あるオックスフォード大学版の「注釈・解説」を完訳して付し、シドニー・パジットのイラストすべてを復刻掲載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きょーこ
20
日本のトップシャーロキアンのお二人が訳した。中学生でも読みやすくするために気をつけて訳したとのこと。注釈も丁寧で、初版の挿絵を挿入しているため、雰囲気もいい。解説やコナン・ドイルの人物像や本人の手記もおまけにたっぷり添えられている。なぜ?最後にホームズを殺さなければならなかったのか。コナン・ドイルのプライベート、無意識との繋がりが興味深かった。2016/06/25
lico
4
シャーロック・ホームズの冒険にはあった各話の元ネタの考察がなくなっているのが残念でした。また、前作と比べて十九世紀っぽさが薄い気がする。唐突にモリアーティがあらわれてあれよあれよという間にホームズが滝つぼへと消えていくわけですが当時リアルタイムで読んでいた人たちは驚いたんでしょうね・・・。『黄色い顔』と『マスグレーヴ家の儀式』が特に面白かったのだけど、『マスグレーヴ家の儀式』のほうはさすがに誰かが気付くでしょうと思わなくもなかった。2016/09/20
小皿
3
(再読)注釈と解説の量が半端じゃない。豆知識がてんこ盛りで、まさにシャーロキアンによる、シャーロキアンのための全集という感じ。あと付録の「二人の共作者の冒険」が楽しすぎる。 当時の通貨の相場を日本円に換算してくれているのが親切。 2020/11/01
rittsu2012
3
子どもの頃に読んだはずが全く記憶にない。子ども向けかと思ったが、裏切りや復讐などドロドロした要素が多く、語り手のワトソンの人格で上品なものになっていて面白い。1800年代のイギリスを覗き見た感じがした。ペンとインク、辻馬車とわだち。探偵業を始めるきっかけも書かれている。ホームズらしい推理の爽快さとそれ以外のダメッぷりも愛しい!この短編集の最後のまさに「最後の冒険」ではモリアーティ教授が出てくるが、あとがきに、ホームズとモリアーティはジギルとハイドだと書かれていてなるほどと思った。2013/01/20
ぽま
3
『白銀号事件』から『最後の事件』までの短編集。『海軍条約文書事件』では、ホームズはなかなか面白い演出を行います。でも、やはり目玉は『最後の事件』でしょうか。宿敵と共に、スイス・ライヘンバッハの滝にて死闘を行います。その結果は…? 百年前リアルタイムで読んだ読者は、私たちよりも更に、展開と筆者に対してやきもきしたのではないでしょうか。ちょっと羨ましい…(笑)2011/12/12