感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みつ
9
今回は代表的長篇のひとつ『上海』(全部で244p)を除き読了。『兄弟行進曲』のようにほとんどが短い会話からなる作品、『機械』のように「」で区切られた会話が存在せず長い段落が続く作品と、極端に異なる趣向の作品が並ぶ。後者はネームプレート工場の製法の秘密を巡る作で、多くの化学薬品が登場し「周囲が一町四方全く草木の枯れている塩化鉄の工場」(p369)が象徴する、荒涼とした心理が描かれる。集中もうひとつの長篇『寝園』は、株価の暴落を背景に、ブルジョアに属する五人の男女間(1組の夫婦を含む)の不確かな愛の物語。➡️2022/05/12