河出文庫<br> 郵便配達夫シュヴァルの理想宮

河出文庫
郵便配達夫シュヴァルの理想宮

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  • サイズ 文庫判/ページ数 216,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309474182
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0170

内容説明

「私は、自分の考えをまぎらわすため、夢想の中で、想像を絶する幻の宮殿を、並みの人間の才能が思いつく限りのもの(洞窟や、塔や、庭園や、城や、美術館や彫刻)を建て、原初の時代の古い建築のすべてをよみがえらせようとしたのだった。」(シュヴァルの「ノート」より)しがない郵便配達夫が、三十三年という歳月をかけ、たった一人で築き上げた夢の宮殿。その驚くべき真実。

目次

第1章 オートリーヴ
第2章 単独歩行者の夢
第3章 村の気違い
第4章 「終わりなき静寂と休息の墓」
第5章 理想宮案内
第6章 死後の栄光
第7章 三人の大無意識家―シュヴァル~ルソー~ルーセル

著者等紹介

岡谷公二[オカヤコウジ]
1929年東京に生まれる。東京大学美学美術史学科卒。フランス文学・美術・民俗学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ネムル

6
33年かけて理想宮を完成させた後に、8年を経て己の廟堂まで作っていたのは全く知らなかった。しかも、理想宮に劣らずけったいな建築。そして、60年代に技術的な面による崩壊と保存活動の瀬戸際でこれを救ったのが、当時の文科相アンドレ・マルローだった。68年にアンリ・ラングロワをシネマテークから更迭した本人なので、勝手にくそったれな奴だとばかり思ってた。この二点が、一番の驚き。シュヴァルとアンリ・ルソー、レーモン・ルーセルを比較する「三人の大無意識家」は興味深くも、30頁ほどの小文ではさすがに食い足りない。2013/06/22

ishida

2
別の本で見て気になって手に取ったが、思った以上にヤバかった。実物観に行きたい2024/04/08

つだしょ

2
シュヴァル自身、「病的な」想像力で宮殿を構想したと言っている(p41)のが深い。<それでも>つくらざるをえなかったのはなぜか。「郵便配達シュヴァルの天井に蜘蛛の巣がかかった(p63)。」また、系統的に引用されている資料や、伝記的事実は参考になる。シュヴァルのノートなど。でも、ルソーやルーセルらと比べたり、同じように論じたりするのは、「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」ことでしかない。ただ、シュヴァルの評価を高める積極的なこころみのひとつであろう。2012/08/09

紙魚

2
大好きな人です。 たった一人で石の城を積み上げた、天才を通り過ごした変人です。 最高の芸術家だと思います。

swingswimmer

1
芸術に関する教育をほぼ受けていなかったフランスの郵便配達人シュヴァルが、33年かけて制作した建築物「理想宮」について取り上げた書籍。雑誌や書籍、仕事で触れる郵便物で得た情報のコラージュである理想宮は、超初期のメディアミックスともいえるのではないだろうか(細部へのこだわりについては、写真メディアの影響も遠因にあると感じる)。完成前から観光の対象となり、公的に価値を付与されることを作者自身も支持者も志向する作品をアウトサイダーアートといえるかは微妙だとも思った…個人的には魔術的リアリズムが1番しっくり来る。2021/05/19

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