内容説明
一九一九年、パリ・オデオン通りに伝説の書店は開かれた。ジョイス、ヘミングウェイ、フィッツジェラルド、ジィド…国際色も豊かに多くの作家が集ったその書店の、書物への愛に満ちた輝かしい日々。『ユリシーズ』の出版社としても名高い店主が鋭い観察眼とユーモアで綴る、二〇世紀文学の舞台裏。
目次
シルヴィアとは何者か
パレ・ロワイヤル
私自身の書店
アメリカからやってきた巡礼者たち
パリの『ユリシーズ』
シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店
ヴァレリー・ラルボー
ジョイスの眼
私の最良のお客様
『ユリシーズ』の初版本〔ほか〕
著者等紹介
ビーチ,シルヴィア[ビーチ,シルヴィア] [Beach,Sylvia]
1887‐1962年。アメリカ生まれ。書店、出版社経営者。1919年、パリのオデオン通りにシェイクスピア・アンド・カンパニイ書店を開き、20年代の文学的サロンとして重要な役割を果たした。アメリカで発禁処分を受けたジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』を刊行したことでも知られる
中山末喜[ナカヤマスエキ]
1933‐82年。英文学者、翻訳者。早稲田大学大学院修士課程修了。元早稲田大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
105
戦間期にパリに生まれたアメリカ女性が経営する米英作品を扱う書店。『ユリシーズ』刊行の話などは興味深い。1920年代と言えば、フィッツジェラルドもヘミングウェイもパリに来ていた。ピカソも。文化の担い手が集まることでこの書店とも化学反応を起こしていたのだろうか。作者のかなり自信たっぷりな文章が些か鼻につかなくもない。2024/02/19
うた
11
ジェイムズ・ジョイス、ユリシーズとともに語られることが多いシェイクスピア・アンド・カンパニー書店。そもそもパリの書店で、何故アイルランドの難解な英語で知られる『ユリシーズ』が、アメリカ人が運営する書店から出版されることになったのか。その顛末やその後、一次大戦後に文学サロンとなった書店での交友はとても興味深いものだ。控えめながらも作品には一切妥協しないジョイス、繊細さを残したヘミングウェイ、ジイド、ヴァレリー、フィッツジェラルド。長く絶版になっていた本書だが、本好きな方に手に取っていただきたい一冊だ。2023/03/20
まこ
4
人が人を呼び、当時から有名だった作家もふらりと訪れる。シェイクスピアアンドカンパニイ書店での日々、特にジョイスと彼の作品ユリシーズとは深く関わり本作でも中心の一つとなっている。2023/10/04