内容説明
一三〇〇年春、人生の道の半ば、三十五歳のダンテは古代ローマの大詩人ウェルギリウスの導きをえて、生き身のまま地獄・煉獄・天国をめぐる旅に出る。地獄の門をくぐり、永劫の呵責をうける亡者たちと出会いながら二人は地獄の谷を降りて行く。最高の名訳で贈る、世界文学の最高傑作。第一部地獄篇。
著者等紹介
ダンテ・アリギエーリ[ダンテアリギエーリ][Dante Alighieri]
1265年、トスカーナ地方フィレンツェ生まれ。イタリアの詩人。政治活動に深くかかわるが、1302年、政変に巻き込まれ祖国より永久追放される。以後、生涯にわたり放浪の生活を送る。その間に、不滅の大古典『神曲』を完成。1321年没
平川祐弘[ヒラカワスケヒロ]
1931年、東京都生まれ。東京大学名誉教授(比較文学比較文化)。『東の橋西のオレンジ』でサントリー学芸賞受賞、『ラフカディオ・ハーン』で和辻哲郎文化賞受賞、マンゾーニ『いいなづけ』の翻訳で読売文学賞・日本翻訳出版文化賞受賞。紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
126
本書が「小説」ではなく「詩(しかも百篇から成る)」というのが圧巻でした。加えて、よくもまあここまで想像が膨らむものだということに驚愕し、当時から「死の世界」は「詩の世界」として認識されていたのかもしれないと想像(=妄想)を膨らませてみました。2024/06/22
よむよし
111
3月25日はイタリアではダンテの日だそうです。魂の旅がカトリック教会の世界観で描かれるが導くのは異教徒で古代ローマの詩人ウェルギリウス。作者は数百年後のルネサンスに先んじ“早すぎた人”でした。先駆者が疎まれ邪魔者扱いされるのは当然です。最も罪深いとみなされたのは悪人達ではなく地獄にすら入れない「神に逆らうでも、仕えるでもなく、ただ自分のためだけに存在したあの卑怯な」者たち。第26歌「諸君は獣のように生きるべく生まれついてはいない。徳と知を求めるべく生を授かったのだ」はイタリアで皆が知る一節とのこと。2024/03/24
優希
108
河出文庫で再読です。古代ローマ詩人・ヴェルギリウスの導きにより地獄へ誘われたダンテ。様々な出来事が襲いますが、これが24時間でなされたことだと思うと鳥肌が立ちます。注釈が充実しており、以前読んだものより読みやすい印象でした。続きも読みます。2017/12/13
ケイ
104
ダンテが想像した地獄の恐ろしさは耐え難いものだ。子供の頃に読んだら、本当に怖かっただろう。しかし、キリスト教の抱える矛盾や独善的な考えが端々に見られるために、仏教や神道の強い日本人である私からは、むしろ壮大な空想の物語にみえる。そして、ダンテと同時代の人々の中で地獄にいる面々に彼の私刑的ないやらしさを感じてしまうのだ。親しかった神父さんが、私がキリスト教の洗礼を受けないことで、天国にいけないと本気で心配してくれていたことを思い出す。彼には、この地獄の様は実際のものであろう。訳者の日本語に感謝。2014/10/01
ベイス
99
「高嶺の花」だったが思いきって手にして良かった。よく出来ている。面白い。訳も挿絵も素晴らしい。地獄の谷を下りれば下りるほどより重い罪を犯した者たちがのた打ちまわっている。例えば神を差し置いて未来を予知しようとした者は、頭部を後ろ向きにすげ替えられ、前進するも後方しか見えないという罰を与えられている。まさに因果応報、ダンテの想像力たるや恐るべし。描写が激烈、たとえも巧みで「地獄」が眼前に現れるようだ。1300年当時どのように読まれたのだろう?時代を経てどのような解釈がなされていったのだろう?煉獄編も楽しみだ2023/03/16