内容説明
夏休暇をすごすため、政府高官の息子ドローヴは港町パラークシを訪れ、宿屋の少女ブラウンアイズと念願の再会をはたす。粘流が到来し、戦争の影がしだいに町を覆いゆくなか、愛を深める少年と少女。だが壮大な機密計画がふたりを分かつ…少年の忘れえぬひと夏を描いた、SF史上屈指の青春恋愛小説、待望の完全新訳版。
著者等紹介
コーニイ,マイクル[コーニイ,マイクル][Coney,Michael]
1932年、英国バーミンガム生まれ。72年、カナダのブリティッシュコロンビア州に移住。77年、『ブロントメク!』で英国SF協会賞を受賞。2005年没
山岸真[ヤマギシマコト]
1962年、新潟県生まれ。埼玉大学教養学部卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
176
11月のラストは神林さんのお薦め作(笑)。まさか「ド嬢」に触発されて読むとはね! おもしろかったです。「SF史上有数の大どんでん返し」は、想像とはちょっとちがったけれど、確かによかった。そういう意味でのそれでしたか。なるほど。読んでいる途中で、これはやっぱり青春恋愛小説なのだろうと思ってしまったけれど、しかしSFです。趣向はちがうけど、「夏への扉」を連想させますね。2016/11/30
ケイ
167
表紙がトリッキーだ。登場人物にこの女の子の年頃の子はいるが、自分の頭で想像した雰囲気とはかなり違う。ラノベぽい恋愛ものに見えるから。しかし、SF的世界から始まるストーリーには引きこまれる。説明なしで、いきなり他の惑星であると認識させ、幾つかの生き物を登場させる。ロリンの存在がとても心癒すもので、彼らが助けに来る半ばまではその世界に浸っていた。しかし恋愛が中心になると彼女が“妖しいもの”にうつり、違和感を覚える。最後はまたぞくっとさせられる感じは良かったが、この恋愛要素をのぞいた方が個人的に好きだ。2017/08/30
まふ
117
「青春恋愛小説でありSFの傑作」という作品。プロットは太陽系以外の、ほとんど地球と同じ環境下で人間と似たような登場人物が展開する可愛らしい物語であるが、読むにつれて「SF」と「ファンタジー」との違いが分からなくなった。「ガリヴァー旅行記」をSFと呼ぶのならば了解するが、むしろ身分制や強国同士の派遣争いなどの背景を見れば「パンタグリュエル」「ハリーポッター」等と同列の「おとぎばなし」に分類すべきだろうと思ったりした(そもそも「SF」の基本概念を私が理解できていないのかもしれませんが)。G458/1000。2024/03/05
扉のこちら側
104
2016年1128冊め。【253/G1000】Excellent!まさに「ラスト3ページのどんでん返し」モノなのだが、そこに至る伏線は後になってから納得させられるものばかりで、SF史上屈指の青春恋愛小説という煽りにも納得だ。ただ読んでいる最中は恋愛要素はそんなに楽しんでいなかったのだが、やはり終わりよければ、で。地球で言うところの氷河期的な大寒波と戦争の影が迫る中、彼らはきっとあの夏の夢を見るのだ。(続)2016/12/21
MICK KICHI
95
柏原芳恵さんの曲を思わず連想してしまう(ハロー・グッドバイ+ガラスの夏)タイトルにニヤつきながら...。異星の世界観にまず手こずり(よくある事ですが)、人物設定の歪さに頭を傾げながら、それでも興味につられていくと、徐々に物語に吸引され、グサリと最後にいい意味で落とされる。そんな作品。青春小説(サリンジャー等)とSFの融合的な書評が目立つが、性愛的な描写の位置づけがかなり印象的な効果を読んで、ちょっとない読後感が得られる。そればかりではなく、異世界そのものの仕掛け、社会批判等が尺の割に豊潤にイメージされる。2019/07/05