内容説明
『裸のランチ』によって驚異的な反響を巻き起こしたバロウズは、カットアップ三部作ともいうべき『ソフトマシーン』『ノヴァ急報』『爆発した切符』を書いた。カットアップやフォールドインとは、自分の文章や他人の文章を切り刻んで並べかえたり折り込んで並べたりして、新しい文章を半ば自動的に生み出す手法。本書はその実験性を発揮して、独自の世界観を繰り広げる。
著者等紹介
バロウズ,ウィリアム[バロウズ,ウィリアム][Burroughs,William S.]
1914‐97年。アメリカの作家。激しい麻薬中毒の時期に発表した『ジャンキー』(53年)で有名になり、錯綜する悪魔的なイメージをコラージュした小説『裸のランチ』が世界的な反響を呼び、ビートニク文学の代表作となる
山形浩生[ヤマガタヒロオ]
1964年、東京生まれ。小説、経済、コンピュータ分野で翻訳・執筆
柳下毅一郎[ヤナシタキイチロウ]
1963年、大阪生まれ。英米文学翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
女性型アンドロイドをイメージさせるソフトマシーンなる表題は、性的な体の機械的動きを連想させる。が、それは実際は紙ではないか?タイプ原稿を折り畳んだり(フォールドイン)、真ん中で切って別の断片と貼り合わせれば(カットアップ)、解剖台上のミシンと蝙蝠傘の出会いのようなシュルレアリズム的偶然が語と意味の間に生じるからだ(ディペイズマン)。この偶然は主語を文から切り離し、動詞に始まる命令文となり、動詞は他の品詞に性行為、犯罪行為、逃走行為を強制する。一方偶然は、この柔らかな解剖台の機械的操作によって作り出される。2020/11/20
gu
5
『裸のランチ』は読んでて苦しくなるがこちらは心地良く酩酊できる。意味は皆目分からなくても。2022/10/12
ヒ
4
主にタリーズと電車で読んだがその間は普段以上に周りの人間のおかしな振る舞いが気になるようになった2018/01/01
gu
4
「だんさん」とか「ミンラウドセックス部屋」とか「刺しつ刺されつ」とか、単語の中毒性が強烈。ほとんど文章になっていないのだが、読んでいるうちに筋が通っているような錯覚を覚え、確実にクセになっているのがヤバい。2011/01/17
hiratax
3
アジアの旅先で読んだらいいんじゃね本に金子光晴とともにバロウズも加わった。カンボジアのシソポンという街で読了する。タイ、カンボジア国境の街、ポイペトに1し泊、カンボジア正月の水浴びの洗礼を経る。10ドルの宿は冷房付きながら独房のようで朝4時に目がさめ、バスで1時間のシソポンへやってきた。30分もあればすべて回れる小さい街の公園で読んだ。雲行きが怪しくなってきたのでホテルへ戻るとスコール。雨が止むのをまって内戦時は軍の監視塔があったという小高い丘に登る。ふもとは寺で、頂上への道は子供の僧侶が案内してくれた。2015/04/18