内容説明
故国ドイツへの旅のもようをつづった紀行エッセイと、ブコウスキーへのあたたかな眼差しに満ちたM・モントフォートの写真八十数点を収録。機内じゅうの酒を飲み尽くす旅のはじまり、出演した人気テレビ番組のぶち壊し、マスコミへの辛辣な発言など、彼の人生観、その素顔が存分に味わえる、痛快なBUK語録ともいえる旅日記。
目次
航空券
機内で
フランスの編集者
インタビュー
トーク・ショウ
トーク・ショウの波紋
ニースに到着
リンダの母親
再びリンダの母親
マンハイム行き列車〔ほか〕
著者等紹介
ブコウスキー,チャールズ[ブコウスキー,チャールズ][Bukowski,Charles]
1920年、ドイツ生まれ。幼時にアメリカに移住。LAシティ・カレッジ中退。アメリカ各地を放浪した後、50年から70年まで、郵便局に勤務しつつ創作活動を続ける。94年に亡くなるまで、50冊に及ぶ詩集や小説が刊行されている
中川五郎[ナカガワゴロウ]
1949年、大阪生まれ。60年代半ばからシンガー・ソングライターとして活躍。現在は音楽評論を中心にエッセイや小説、翻訳など幅広い活動を行なっている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蘭奢待
42
単行本の方。小説ではなく、ヨーロッパ旅行のルポ。写真の多さも相まってブコウスキーの素顔をうかがい知ることができる。小説ほどの狂気はないが、無頼な雰囲気は健在。2020/04/26
ともっこ
15
ブコウスキーによる独・仏紀行文。 無頼者が終始酔っ払っていて、普通だったら眉をひそめてしまうかもしれないのに、なぜか人を惹き付け愉快で楽しい。読み終わるのが寂しく感じられた。 ブコウスキーの優しさ、茶目っ気、繊細さが端々から現れているからだろう。 ブコウスキーがどんなにリンダ・リーを愛しているか、掲載されている写真の二人の表情からもわかる。2021/03/15
三柴ゆよし
11
『酔いどれ紀行』というタイトルの通り、このジジイは旅行中だろうとなんだろうとおかまいなしに酩酊しているのであるが、そうした状態にあっても、キッチュなもの、グロテスクなもの、暴力的なもの、人生の敗残にまみれて薄汚れたものを、彼の視線は敏感にとらえ、すくいあげる。詩の朗読会直前に緊張したり、叔父さんとの再会に感激したりする、小説とはちがったブコウスキーに出会える素晴らしい一冊。写真も、かっこいい。こういうジジイにぼくもなりたい。ポートワイン十本くらい持って鎌倉でも行こうか。2009/09/05
おじ
4
「興奮させられると、人は飲み過ぎる。ついていると、人は飲み過ぎる。ついていないと、人は飲み過ぎる。そんな調子だ。」Charles Bukowski2016/04/17
ランラン
3
ブコウスキーの飾らない開けっぴろげな性格で絶えずワインを飲み続けている半ばアル中の酔いどれ紀行。名所に関心を示さず作家であるプライドがあるわけでもなく男の本能の赴くままにいきている姿は最初あきれ果てた。その分素顔が手にとるように分かり執筆した小説もノンフィクションに限りなく近くそこが魅力なのかもしれない。2019/09/15