内容説明
ある町の銀行の支店で起こった、現金紛失事件。女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪…!?“たたき上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上らない成績…事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さに迫った傑作群像劇。
著者等紹介
池井戸潤[イケイドジュン]
1963年岐阜県生まれ。慶応義塾大学卒。98年『果つる底なき』(講談社)で江戸川乱歩賞、2010年『鉄の骨』(講談社)で吉川英治文学新人賞、2011年『下町ロケット』(小学館)で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サム・ミイラ
551
驚きました。これは面白い。半澤シリーズのような物語を想像していましたが全く違っていました。リアルで其々が謎に満ち、時にクールに時に人の情に溢れる異色作。銀行を舞台によくこんなドラマが描けると感嘆します。十話からなる短編は綿密にリンクしながら一本大きな秘密が背骨のように貫いています。各話の主役も視点も変えることで全てが伏線となり、何度もページを戻り登場人物の名前を探して疲れます。作者が一方でスーパーヒーロー半澤直樹を書きたくなる気持ちも少し分かるような気がします(笑)2014/10/15
ミカママ
527
既読・・・だった・・・まったく新鮮な気持ちで読み終えた・・・。面白い!銀行を舞台にした作品は多々書いてらっしゃるが、金融素人にもわかりやすい人間ドラマ。そしてミステリー。さて、映画探してみるか。2024/01/16
W-G
517
映画化されるらしいので、この機会に手に取った。先に映像化されている『七つの会議』と非常に似た構成。こちらの方が先に刊行されている本家。個人的に、短編をつなげたタイプの連作はあまり好きではないのだが、これくらいライトな読み口で、しっかり起伏もあると、一気に読める。個別に見ていくと、第七話『銀行レース』の結末などは、ミステリっぽい仕上がりで、今となっては、著者らしくない新鮮さ。第十話で、いきなり派遣社員の新キャラを出して締め括るのは微妙だった。やりたかったことはなんとなくわかるが、成功はしていない。2022/04/20
ミカママ
505
これは!?『空飛ぶ』や『下町』ほどのすっきりした面白さはないものの、絶対にもっと評価されていい作品。つかみは連作短編形式を取った、人間ドラマで、舞台はもちろん東京第一銀行都内支店。銀行内のパワーバランスあり、家族愛あり。それだけでも嬉しいのに、中盤お話しはどんどんミステリーの様相になり、おまけにラストはどんでん返し?!いやぁ、素晴らしい構成力と筆致力。池井戸さんは10年前に、すでにここまでたどり着いてたんですねぇ、恐るべし。2015/09/07
再び読書
435
銀行版サスペンスって感じで、安定的な面白さです。少し最後の謎が気にはなりますが、相変わらず、銀行が普通の感覚ではない職場であるということが実感されます。たまたま選ばなかった(選ばれなかった?)事が幸運に思えます。小説として読むのは面白く読めました。続けて池井戸氏の作品に挑戦します。2014/08/25
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