内容説明
一九五〇年代に始まる文学運動は、ビート・ジェネレーションを生み出した。ケルアック、ギンズバーグら錚々たる作家たち(ビートニク)の中でも、バロウズはその先鋭さで極立っている。脈絡のない錯綜した超現実的イメージは、驚くべき実験小説である本書に結実し、ビートニクの最高傑作となった。映画化もされた名作の待望の文庫化。
著者等紹介
バロウズ,ウィリアム[バロウズ,ウィリアム][Burroughs,William S.]
1914‐97年。アメリカの作家。大学卒業後、欧州旅行を経て様々な職に就く。激しい麻薬中毒の時期に発表した『ジャンキー』(53年)で有名になり、錯綜する悪夢的なイメージをコラージュした小説『裸のランチ』が世界的な反響を呼び、ビートニク文学の代表作となる
鮎川信夫[アユカワノブオ]
1920‐86年。東京生まれ。詩人、評論家。早大英文科中退。39年に「荒地」創刊。戦後に田村隆一らと『荒地詩集一九五一』を刊行。詩論や文明論でも活躍した
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感想・レビュー
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遥かなる想い
193
麻薬中毒者が書いた意味不明の醜悪な 描写の羅列が続く本である。 1959年に出版されたらしいが、正直 読んでいて気持ちが悪く 人間の醜悪な面を 執拗に描く..雑多なエピソードをいい加減に 並べただけの この本、何が評価されたのだろう ..挑発するかのような言葉の連続は 著者の 実験だったのか?ひどく疲れた読書だった。2017/04/15
ケイ
157
麻薬の怖いところって知ってる?決して満足できないことだ。弛緩して狂って汚れきって自分を傷付けて…、見るものがだんだんおかしくなる。何が見えるか教えてあげるよ、覚えてるうちに。生まれたばかりの赤ん坊は今見てきたものを語る言葉を知らないけど僕は知ってるから。一番の問題は、この地獄から、地獄の苦しみを経て抜け出しても、いとも簡単に死んでいく人が多いこと。結局何も代わりのものがないのかな。だから、ジャンキーの周りは哀しみに満ちている。この物語も、狂気の裏にあるのは、哀しみなんだよ。と、作者が私に語りかけていた。2017/06/06
夜間飛行
107
バロウズのような文は他の誰にも書けない。読者の共感や、時には意味の伝達さえ拒んでいるのに、こんなに引きこまれるのはなぜだろう。《医者はカールのコックを握り、粗野な百姓のようにげらげら笑いながら飛び上がる。彼のヨーロッパ風の微笑は、子供や動物の不作法は不問に付す。そして気味の悪いほど抑揚のない、肉体から離脱したような英語をすらすらとしゃべり続ける。~彼は金切り声を上げ、自分の顔をカールの顔の中に突っ込む。カールは横に身を引き、灰色の雨の壁を背にする》…命の火花を物質に委ねんとする強い意志?進化論への挑戦? 2017/09/26
中玉ケビン砂糖
102
、『裸のランチ』に関しては、原作よりもクローネンバーグの監督した映画版のほうが印象に残っている、例えばいくらダザイズムにうっとりしていてたところで、太宰は人をふたり殺している、つまり人間としては不適格な屑であればあるほど、後世に足跡を残せるのだろうか、と憂鬱な気分になる、バロウズも例外ではなく、詩人として作家としてどんなに偉大であっても、ラリって妻を射殺したという事実は残る、クローネンバーグは容赦なくそこをえぐる2015/11/10
扉のこちら側
88
初読。2015年1082冊め。【60/G1000】道徳的に相応しくない言葉を用いて雑多なエピソードを適当に並べました、といった作品。麻薬中毒者の見る幻覚を羅列しているとのこと。全く好みではなく、本文より序文と補遺の方が興味深かった。2015/10/17
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- 和書
- 国際金融危機の経済学