感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bo-he-mian
16
何年か前に、知人が書いた記事でカスパー・ハウザーそっくりの話があって、現代の日本でもこんな事があるのかと驚いた。その30代ぐらいの男性は、長い間山奥で老夫妻と共に暮らしていて、自分たち3人以外に人間がいる事など考えもしなかったという。ある時、大きな揺れがあって、家もじっちゃんばっちゃんもどうなったか分からないような混乱状態の中、延々と色々な場所をさまよい、気づいたら人里に出てきていた・・・たぶんその後その男性は番組などで紹介され、名乗り出た多くの人の中からDNA鑑定で本当の両親と再会した、はずである。2018/11/07
twinsun
11
謎解きやその後の研究の知見の累積は以前読んだ「謎のカスパール・ハウザー」(種村季弘)に詳しかったが、本書では実際に本人に接した人物ならではの人物描写やカスパーの短期間での発達や生理学的変化の著述が興味深かった。フォイエルバッハのカスパーを共感的に理解し生活のために援助を検討する姿勢には真摯なものがあり、彼の卓抜な法律家としての姿勢の原動力が顕れていると感銘を受けた。2021/11/22
さとまる
7
幼少期を監禁されて過ごし、16歳になって初めて外に連れ出され遺棄された少年カスパー・ハウザーに関する報告書のような内容。彼の保護に当たった刑法学者フォイエルバッハが書き留めたレポートなのだが、フォイエルバッハ自身がカスパーの暗殺前に急死してしまっているので、カスパー暗殺の謎に関しては触れられていない。驚くのがカスパーの知識というか環境認識の変化。人間の発達を短期間になぞっているよう。カスパー自身の出自の謎については留保している印象。2023/03/03
桜井晴也
2
「私は皆が好きなんだ、誰も悪いことはしない……市長さんの奥さん、助けて! ……あんたも好きなんだ、殺すな! ……どうして私を殺すのだ? 私だって生きていたい…… 私があんたに何をしたというのだ……私を殺すな! あんたが牢に入れられないように、私からたのんでやるから……牢から一度も出なくても、あんたはやはり私を殺すのだな! 生きるとはどういうことかが私にわかる前に、あんたは私を殺すというのだな。」2012/09/25
戸田健太朗
2
人の成長発達と認識力にたいする貴重な記録。我々が当たり前と思っている認識が成長の過程で培われたものだということがよーわかる。当たり前は実は当たり前じゃない。2012/06/21
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- 和書
- 病態と治療 (第2版)