感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
猫丸
10
愛の反対は憎悪ではなく無関心、とはよく言われる。本書の男は無関心を全力で回避するために鞭打たれることを望む者である。本当はじぶんだけを見つめる妻を得たいのだが、次善の方途として耐え難きに耐える。その意味で、専一に苦痛を追求するマゾヒズムへ至る発展の途上にあるみたいだ。痛みにとことん弱い僕などからすれば見上げた根性なんだが、現代マゾの皆さんはもっと先へ進んでいるに違いない。苦痛を超えてむしろ積極的に無関心を歓迎する。無視され放置されモノとして扱われる地点で愛の形はどのようなものか。進化を逆流する感覚?2023/04/20
yukihirocks
6
深い人間洞察を感じる心理小説。序盤でヘーゲルの名前が登場することから推察するに、本書で描かれているのは「支配される(させる)ことで支配する」というような主人と奴隷の関係であり、歪な相互承認(依存)の様相であり、エロティックな意味における一般的なSMだと思う。そこには前提として「愛(少なくとも感情)」が存在している。故に本書によって定義される所謂マゾヒズムは、本来の意味におけるサド的なサディズムとは決して対概念ではないと思う。後者の意味におけるSとは、相手の主体を完全に消却する「一方的な」暴力であるからだ。2026/03/16
まあい
3
今になってようやく時代が追いついた、とでも言うべきか。激烈に迫ってくるものがあると感じていたが、やはり作者の実体験に基づいていたようである。そしてこの作品が作者の実人生に反映される……マゾッホの来歴まで含めて傑作。2015/02/11
らむだ
2
“しかしマゾッホは作品のなかでヴィーナスの冷たい石像を生身のワンダへと蘇らせたばかりではなく、作品という大理石像から実生活そのものをも引き出してしまったのである。”という種村氏のあとがきに衝撃と感動。2013/06/13
そーつ
2
サド読んだらこっちも読むっしょ♪って事で読了。全然サドより読みやすいし面白いと思う。ドMのゼヴェリーンに所々共感してしもうた、ワンダと契約後には流石についていけなかったが・・・。後書きで知ったけどマゾッホの生き方はすげぇ、虚構と現実が混同し始めるってどうよ?2009/09/27




