内容説明
揺るぎない地位を築いた光源氏は、夕顔の忘れ形見である玉鬘を引き取り、男たちの恋のさや当てを楽しむが、自身も美しい玉鬘への恋慕が諦めきれずにいた。苦悩しながらも懸想するが、それを受け入れまいとする若い玉鬘…。やがて思いも寄らない結末を迎えることになる。「初音」から「藤裏葉」までを収録。
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
1967年神奈川県生まれ。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、12年『紙の月』で柴田錬三郎賞、『かなたの子』で泉鏡花文学賞、14年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞、2021年『源氏物語』で読売文学賞(研究・翻訳賞)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真琴
10
「初音」〜「藤裏葉」。夕顔の忘れ形見、玉鬘をめぐる恋の駆け引きが描かれます。光君の庇護のもとにあるにせよ、あんな風に言い寄られたら「うざい!!」って思ってしまうだろうとその姿が痛々しい。「女子三従の教え」の重みを感じた巻でもありました。2024/02/18
さとまる
9
玉鬘がメインに描かれるのだが、これまでと違い光の君の人間らしさがさらに進み、ちょっとセクハラエロ親父さも感じさせる。一方で対比キャラとして末摘花のようなコメディリリーフ近江の君が登場。紫式部の夫藤原宣孝の愛人がモデルらしいのだが、本当なら意地が悪い。2024/02/25
rinakko
8
再読(角田源氏は初めて)。今のタイミングで「蛍」の物語論を読むと、「光る君へ」のまひろの声で響いてくるような気がする。そして「藤裏葉」の大団円。おそらくここまでで紫式部は一旦筆を置いたのではないか、という話を聞いた。いよいよ次巻で「若菜」。(あと、玉鬘にねっとり執着する光源氏、普通に気持ち悪いんだが? と思いましたw)2024/04/11
yucco
6
玉鬘を巡る巻。読み進めながら光君の心情や行動にドン引き!?でもそれだけ彼女が魅力的だったという事なのかな。何となくモヤモヤとした状況の中で現れた、どこかコミカルな近江の君と、夫への並々ならぬ思いを突如爆発させる鬚黒の妻…こういうキャラクターを差し込んでくるところがすごいなぁと。光君無双だった第1部が終わり、次からどんなストーリーが展開されるのか楽しみ。2024/03/07
Chieco
5
4巻読了。ようやく半分。読み進めるにつれ、脳内が平安時代になってゆく。4巻は玉鬘がメイン。 しかし、近江の君の描写にはつい苦笑してしまった。わたしも彼女同様早口なので、品がないのだ 笑 それにしても、六条院はすごいなあ。足を踏み入れてみたい。きっと1年中飽きない風情があり、優雅な時間を過ごせそう。 それにしても、文章(表現?)が美しく、情景が細かに描かれており描写が素晴らしいなあ、と思う。 日本的で好き。2024/04/09