内容説明
世界の創成と、神々の誕生から国の形ができるまでを描く最初の日本文学、古事記。神話と歌謡と系譜からなる難解なテクストを、斬新な訳に画期的な注釈を付けて読みやすさの工夫をした、池澤古事記。天地のはじまり、イザナキとイザナミの国生み、ヤマトタケルの冒険と死、仁徳天皇を巡る女たちなどエピソードも楽しい、現代語訳の決定版。
目次
上巻(はじまり;イザナキとイザナミ;神生み ほか)
中巻(初代神武天皇;神武天皇と久米の子らの歌;神武天皇とイスケヨリヒメ ほか)
下巻(十六代仁徳天皇;仁徳天皇とイハノヒメの歌;仁徳天皇とお召しを断った女たち ほか)
著者等紹介
池澤夏樹[イケザワナツキ]
1945年、北海道生まれ。作家・詩人。88年『スティル・ライフ』で芥川賞。92年『母なる自然のおっぱい』で読売文学賞(随筆・紀行賞)、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、2010年「池澤夏樹=個人編集世界文学全集」(11年に朝日賞)、20年「池澤夏樹=個人編集日本文学全集」の編纂で毎日出版文学賞(企画部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shoji
34
私は奈良県に住んでいます。県内には、古事記や日本書紀、神話の故地が広く分布しています。その様な関係で、もともと古事記に興味を持っていました。この池澤夏樹さんの作品は、とても読みやすく取っ付き易い切り口です。古事記を知らない方でも途中で投げ出さず読めるのではないでしょうか。入門書として最適だと思います。2023/12/26
けいご
23
曖昧模糊な状況から日本が徐々に形になっていく様は、宇宙が何の理由もなく発生し、地球に生命が生まれるまでのダイジェスト版をみているようでとても面白かったです★神や天皇と聞くと理由もなく拒絶反応を示す方もいると思いますが、それでも日本人の心の中には無意識ながらにも古事記が生きている事が生活の中に見て取れると何となくムズムズしますwわからないところがめちゃくちゃあったけど、わからなくって面白い!そんな感じですw2024/01/11
はかり
18
どんなものかと期待して読んだが、神々と歌の続出だった。八百万と呼ばれるほど神々が多いのは日本文化か。歴代天皇の出現も大して興味を惹かなかった。日本の歴史の元となると思えば我慢しかない。2023/12/27
まさ☆( ^ω^ )♬
11
いつか読んでみたいと思っていた一冊。かなり読み易くなっていたのでなんとか読み終えた。神話・伝説、歌謡、系譜の構成となっており、神話・伝説はまあ読めたし面白い。歌謡は翻訳だけ読み、系譜はとにかくダラダラと長いので人名を覚えられるわけもなく、流して読んだ。注釈も充実していて勉強にもなる。が、全部丁寧に読んでると読むテンポが悪くなるので、今回は注釈は適当に摘み読み。次に読む時は、また違う読み方ができそう。河出文庫の古典新訳コレクション、色々と読んでみたいと思った。次は平家物語を読もうかな。2024/03/14
Hatann
10
河出文庫の古典新訳コレクションとして所収されたもの。神話・系譜・歌謡の3つのテクストが織りなされた最古の日本文学を、原文のリズム(太安万侶の文体と口調)に配慮して現代語訳している。行間を埋めて分かりやすく示すのではなく、ユーモアある脚注を施すことで読者の理解を補完する。長年に亘り古事記注釈の拠り所とされたのは本居宣長の古事記伝だが、池澤直樹の現代語訳は、そこを越えて万葉仮名の原点に肉薄しようと試みた。古事記からは、神話の時代には既に男系社会が形成され、歴史の時代には大陸文化に強く影響されたことが伺える。2024/01/02