出版社内容情報
時価十数億の伝説の名器が超満員のコンサート会場から消えた! ハウダニットの驚くべき傑作はじめ、華麗な音楽ミステリー集。
内容説明
時価十数億のヴァイオリン、ストラディヴァリウスの銘器が若き天才ヴァイオリニストの凱旋コンサート会場から忽然と消えた!巨大な密室と化した超満員の音楽ホール。チャイコフスキーの名曲が明らかにした真犯人は?そしてあまりに芸術的な犯行手口とは?ハウダニットの驚異的傑作はじめ、ワーグナーの熱狂者たちが織り成す三部作、幻のデビュー作も収録の華麗な音楽ミステリー集。
著者等紹介
深水黎一郎[フカミレイイチロウ]
1963年、山形県生まれ。慶應義塾大学文学研究科後期博士課程修了。ブルゴーニュ大学修士号、パリ大学DEA。2007年、『ウルチモ・トルッコ』(『最後のトリック』と改題、河出文庫)でメフィスト賞を受賞しデビュー。11年、「人間の尊厳と八〇〇メートル」で日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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麦ちゃんの下僕
60
ホワイダニットの傑作『戻り川心中』に続いては、「ハウダニットの大傑作!」と帯に書いてある(笑)こちらを。《ストラディヴァリウスを上手に盗む方法》僕はアマオケでティンパニを叩いていた人間ですので、クラシックに関するある程度の知識はありますが…それにしてもヴァイオリンに関する蘊蓄には唸らされますね!“芸術探偵”シリーズ、ぜひ追ってみたいです。《ワグネリアン三部作》ワグネリアン=ワーグナー・ヲタに関するユーモア連作短編集。これはクラシックの知識が無い方でも(言ってることは意味不明かもしれませんが)笑えます!↓2020/06/18
geshi
35
『ストラディヴァリウスを~』ストラドに関するペダントリーが詰め込み学習式に出されるのはなかなか苦しい。ハウダニットの盲点を作るために必要なのは理解しているけど。『ワグネリアン三部作』「~恋」ワーグナーへの偏愛と上から目線がオチでいい具合に笑いに昇華されている。「~蹉跌」ちょっとキャラとしてやりすぎ。「~栄光」マニアッククイズは面白いけどショート・ショートのネタだよね。『レゾナンス』いかにも文章修行してます純文学風味。物語より自分の知ってる言葉や文章表現を出すことが優先しているように見えてしまった。2020/06/01
🐾ドライ🐾
10
『ストラディヴァリウスを上手に盗む方法』芸術探偵シリーズの何作目なんだろうか。トリック自体は有名なミステリーの応用型だけど「なるほどな」と思わせる。更には犯罪者側の視点からの歪んだ思考もひと癖あって面白い。なぜ数百年前の、一部のヴァイオリンだけ億を超える価値があるのか誰かに言いたい。早く言いたい。ヴァイオリンの蘊蓄から作者のヴァイオリン、クラシック音楽への愛がひしひしと感じられる短いけど濃いミステリー。 『ワグネリアン三部作』過去作でもワーグナーへの尊敬と愛を煮詰めたミステリーを書いていたが、これは→2020/07/12
α0350α
8
ワグネリアン三部作が最高に面白いですね。ワーグナー好きの登場人物たちの会話がマニアック過ぎてよくわからないのが笑えるのに加えてミステリ的な驚きまで入っていてすごいと思いました。「ストラディヴァリウスを上手に盗む方法」は芸術探偵シリーズで安心して読める面白さでした。2020/05/26
ようよう
5
深水さんの音楽系の作品を集めた短篇集なんだけど、とても楽しいなぁ。博覧強記ぶり、調べた知識ではなく、好きゆえの偏愛が感じられ最高でした。2020/08/05