内容説明
夫は単身赴任中で、幼い息子と二人暮らしの母親・ゆみ。幼稚園や自治会との確執、日々膨らむ夫への疑念…孤立無援の彼女はやがて、息子・ゆたかだけを見つめるようになる。その思いは、「あの日」を境にエスカレートしてゆくのだが―孤独と不安の中、溢れる子どもへの思いに翻弄され、未来への確信を失った母の目を通じて現代の日本を映し出す傑作。
著者等紹介
柳美里[ユウミリ]
1968年生まれ。高校中退後、東由多加率いる「東京キッドブラザース」に入団。役者、演出助手を経て、86年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。93年『魚の祭』で岸田國士戯曲賞を最年少で受賞。97年『家族シネマ』で芥川賞を受賞。著書に『フルハウス』(泉鏡花文学賞、野間文芸新人賞)『ゴールドラッシュ』(木山捷平文学賞)他多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zanta
22
141/5/10/2015 やばい。柳さんの本はマズいんじゃないかと思って若い頃から敬遠していた。根拠はないんだけど。何かで紹介を読んだ際、多分自分の暗部、ダークサイドをつつかれるような気がしたのだ。やっぱり、だった。最初は乱れ飛ぶ周囲の音声に読書を阻害されるようで入り込めなかったが、気づけばずっしり。私は育児の経験がないからまだ他人事だが、育児をしている人は大変だなと痛切に感じる。救いとなる存在はいなかったものか。子殺ししなかったことは誉めてやろう、せめて。2015/05/10
恋空
18
いやあ、凄すぎた。壊れて行く、、 どんどん病んで行く過程が自分と重なり、苦しくなる。このままじゃダメだと思う。苦しい。とんでもない本に出会ってしまった。2018/09/02
マカロニ マカロン
14
個人の感想です:B+。夫が単身赴任中で幼稚園児と二人で暮らす母親由美。夫には愛人がいるのではないかと疑っていて、遠距離の夫婦仲は冷え切っている。由美は福島の原発事故以降放射能にナーバスになっていて、子どものお弁当、手洗いに気をすり減らしている。また由美はかなりのこじらせ症で幼稚園、団地の自治会と対立して、周囲から孤立していく。本作はこのストーリーは全体の3割程度で、残りは由美と子どもの通学路ですれ違う人の会話、見かけた看板、電車の発車音などをコラージュのように織り込んで、彼女の孤独感を強烈に印象づけている2023/07/05
CCC
12
ノイローゼ状態で育児をする孤立した母親のとりとめない思考をそのまま引き写しているようだった。社会的な問題も個人的な問題も区別なく、人々の声やコマーシャルの雑音、社会不安、身近な人や組織への不信や不満などが整理されずに混然としている文章は、料理されていない生の思考という感じがしてリアル。2023/02/13
しゅしゅ
8
ただただ、涙が出た。女の抱えている孤独が手にとるように伝わってきて、読み終わった後はしばらく放心してしまいました。ゆたかはきっとママにはもう会えないと悟ったんだろうな。雑然とした描写が続くので、好き嫌いが分かれてしまう作品かもしれませんが、私はすごく好きです。2014/10/18
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