内容説明
東京美術学校校長非職騒動、九鬼男爵夫人波津子との灼熱の恋、姪貞との秘められた関係、デーヴィ夫人への愛―。近代日本美術の理論的指導者でありながら、その性格と行動ゆえに数々の「敵」を持った天心。清張自ら天心の足跡をたどり、新たに資料を発掘し、彼の人間性を精緻に描いた異色の評伝。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年、福岡県小倉市生まれ。作家。1953年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。『点と線』『ゼロの焦点』などで社会派推理小説ブームを起こし、『日本の黒い霧』では社会派ノンフィクションの先駆けとなった。また、古代史、歴史小説、評論の方面でも旺盛な創作活動を展開した。1992年逝去。個人資料館として、小倉城内には北九州市立松本清張記念館が開設されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
koji
14
本書は、いきなり、九鬼隆一家から巣鴨病院に提出された「波津子夫人再入院申請書」の全文掲載から始まります。天心と九鬼波津子(哲学者九鬼周造の母)は、今で言う不倫の仲。波津子は精神に異常をきたし、何度も病院を脱走しました。近代日本美術の理論的指導者天心も、その破綻的な性格とエピソードから、清張さんの手に掛かると、「官僚主義者、意志薄弱、斑気、アジテータ」と「内面」を丸裸にされます。唯清張さんは芸術家を非難しているのではなく、綺麗事でない人間の本性と芸術の関係の根源を突き詰めるのが主題と分かります。読み応えあり2023/09/01
いわきりなおと
4
人間、岡倉天心の話。つまり影の部分がメイン。政治力って大事。2014/08/21
エリック
3
清張が天心に関わるほぼ全ての資料に当たり、縁者や門下生によって半ば神格化されている天才天心の光と影の両面をえぐり出す。尻切れとんぼ感がなくもないが天心のバサラ気質を物語るエピソードなど面白い。それにしてもこれまで得体の知れなかった東京美術学校事件の想像以上のえぐさに驚いた。2015/07/23
bishop8856
3
なんとなく手にとって、なんとなく読んでしまった。松本清張の取材力がすごい。2014/05/17
Gen Kato
3
松本清張の書く評伝は対象者を必要以上に矮小化するきらいがあって(それは、一面の真実ではあるけれど全体像ではない)、正直あまり好きではないのだけれど、取り上げる人物はさすがのセレクトなのでつい手に取ってしまう。岡倉天心とはつ子さんを描いたもっとも美しい(そして哀しい)文章ははつ子さんの子・九鬼周造のエッセイなのだけれど、あれはやはり願望とあこがれを含んだ「伝説」として読むべきなんでしょうね…2014/04/06
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