内容説明
酷薄の観察「彼を殺したが…」、亡命ロシア人の暗殺計画「犂氏の友情」、山田風太郎を唸らせた「勝負」、ドキュメント「プランス事件」、実際の犯罪か「悪の花束」、勇敢なる二等航海士「海と人間の戦い」、白瀬矗追悼?「南極記」、S19年によくぞ発表「爆風」、熱いものがこみ上げる「公用方秘録二件」、アジアの挺身「不滅の花」、以上。
著者等紹介
久生十蘭[ヒサオジュウラン]
1902年、北海道函館生まれ。作家。函館新聞社に入社後、上京、岸田国士に師事。渡仏し、演劇論を学ぶ。帰国後、『悲劇喜劇』の編集に従事、演出も手がける。『新青年』などで言語実験を駆使した推理小説、伝奇小説、珠玉の短編群を発表。1957年死去。主な作品に、「鈴木主水」(直木賞)、「母子像」(国際短編小説コンクール1位)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
37
          
            慣れては来たけどあいも変わらぬ唐突な幕引きです。けどそれは決してつっけんどんではなく語る所は終わったんだというクールな所作に感じられます。ともあれ今回は『公用方秘録二件』の中の『鷲(唐太モイガ御番屋一件)』に、ぐっと来てしまった。藩の用命で樺太の国境線に住み着いた二人の侍、いや侍などという大層なイメージではなく青年?闘って死守するのではなく実直に国境にしがみつくその姿と幕末の日本から忘れられてしまうその運命に本当にぐっと来てしまいました。2014/10/07
          
        しろ
11
          
            ☆5 日本の作家とは思えないほどの雰囲気を持つ久生十蘭。この一冊では、ノンフィクションやノンフィクション風が多くて、その中でも著者らしさが出ているのは凄いと思う。ただやはり完全フィクションが読みたい。「事実は小説より奇なり」かもしれないが、「小説は事実より面白いなり」。「勝負」はさすがに面白かったけど。2013/04/19
          
        YO)))
11
          
            河出から,5冊目の十蘭選集.帯に『透徹した「常識人」の眼力が光る傑作群』とあるが,成る程,フラットな語り口で書かれた記録小説風の作品が目に付く.轢死体の様子に至るまで容赦なく事件を描き出す「プランス事件」が取分け印象的.一方で最もフィクションらしい一編,「勝負」が凄い.冒頭,気怠げな午睡の場面から,ラストのドッグファイトまで,息もつかせぬ展開で,戦争の元に奇妙にして強固な絆で結ばれた二人の男のデッドロックな友情を描き切る.この題材であれば,分厚い長編が書けそうなものだが,一切の出し惜しみなく.2012/06/16
          
        rinakko
5
          
            再読。2017/07/02
          
        CJ
4
          
            特に中盤各編で感じられる、淡々とした筆致がいい。「公用方秘録二件」と、最後があっけないものの「海と人間の戦い」が特に印象に残った。2013/03/10
          
        


 
               
               
               
              


