出版社内容情報
いまだに汲み尽くされていない、深く多面的な小松左京の「未来の思想」。「神への長い道」など名作短篇から論考、随筆、長篇抜粋まで重要なテクストのみを集め、その魅力を浮き彫りにする。
著者等紹介
小松左京[コマツサキョウ]
1931年、大阪生まれ。京都大学イタリア文学卒業。日本を代表するSF作家。『日本沈没』は400万部を超える大ベストセラーに。同作で日本推理作家協会賞および星雲賞日本長編部門受賞。『首都消失』で日本SF大賞受賞。2011年没
東浩紀[アズマヒロキ]
1971年、東京生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。作家、批評家。『存在論的、郵便的』でサントリー学芸賞受賞、『クォンタム・ファミリーズ』で三島由紀夫賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
38
知の巨人、小松左京の偉大さにただただ驚愕した。この世界の本質は「空」であるという仏教の思想を根底とし、かつ日本と日本人に足りないものを見事なまでに的確に言い当てているからだ。足りないものは、哲学。きちんと言うならば、カントやハイデガーといったレベルの認識・存在論的な思考の欠如である、と。それはまた、日本が国際社会で没落した原因でもある、と。自己認識・自己存在を自覚し意識化できない民族性ゆえにである、と。換言するなら比較文化論をおざなりにしてきたという山本七平の鳴らした警鐘と小松の意見は一致しているのだ。2019/10/06
Tadashi_N
25
現代と確実につながっている未来。地球環境の問題放置が悲劇を生む。2020/04/18
フーミン
17
作者の哲学がきちんと書かれている本。SFの世界にもこの思想を反映させている。すごいなー。今日本に欠如しているものが何であるかを指摘されているような気がします。2021/02/03
Bartleby
11
このセレクションでは、評価の高い短編「神への長い道」や『虚無回廊』からの抜粋などに加え文明論や回想録なども収録されており、読み進めるほどに小松左京の人物像が立体的に見えてくるものになっている。後半の東京オリンピックや大阪万博をめぐる回想録(抜粋)は、その世代ではない自分にはイマイチ分からなかった当時の社会の状況や空気がクリアに示されていて特に興味深く読むことができた。収録されているのは小松が梅棹忠夫らと研究会をしているところまでだが、実際に万博の仕事に携わるところまで全編読んでみたくなった。2016/02/02
不見木 叫
6
「極冠作戦」と「人類裁判」が私的ベストです。特に「人類裁判」は価値観を揺さぶる展開と仏教に絡めたオチが秀逸。2021/09/29
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