河出文庫
聖母のいない国―The North American Novel

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  • サイズ 文庫判/ページ数 297p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309409061
  • NDC分類 930.29
  • Cコード C0195

内容説明

『風と共に去りぬ』はなぜ大衆文学なのか。『赤毛のアン』に読者が惹かれる理由は。トム・ソーヤーら悪童が愛される文化の問題は。アーヴィングはフェミニストか。“聖母のいない国”アメリカで生まれた小説がはらむ「恋愛」と「真実」をさまざまな視点から読み解いた挑発的文学論。サントリー学芸賞受賞。

目次

マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』―『風と共に去りぬ』はなぜ「大衆小説」なのか?
マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』―グッド・バッド・ボーイの系譜
アーネスト・ヘミングウェイ『日はまた昇る』―不能であることの希望
J.D.サリンジャー『フラニーとゾーイー』―サリンジャーを正しく葬り去ること
メアリー・マッカーシー『グループ』―マッカーシー『グループ』と「真実」の問題
ナサニエル・ホーソーン『緋文字』―夫の立場から読む姦通の文学
バーナード・マラマッド『アシスタント』―アメリカ版『レ・ミゼラブル』
イーディス・ウォートン『エイジ・オヴ・イノセンス』―禁忌なき時代、恋愛小説は死滅する
ジョン・アーヴィング『サイダーハウス・ルール』―ジョン・アーヴィングはフェミニストか?
ヘンリー・ジェイムズ『鳩の翼』―悲劇の後生き延びた女はデーモンになる
ハーマン・ウォーク『ケイン号の叛乱』―勝った戦争のみが若者を成長させる
ケイト・ミレットとエリカ・ジョング―ヘンリー・ミラーをめぐる二人の女
ルーシー・モンゴメリ『赤毛のアン』―実現すべき自己などない時

著者等紹介

小谷野敦[コヤノアツシ]
1962年、茨城県生まれ、埼玉県育ち。東京大学文学部英文科卒業、同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了。学術博士。現在、東京大学非常勤講師。2002年、『聖母のいない国』でサントリー学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

オールド・ボリシェビク

2
2001年に「ユリイカ」に連載されたアメリカ小説批評をまとめた一冊。マーガレット・ミッチェル「風と共に去りぬ」、ルーシー・モンゴメリー「赤毛のアン」、ジョン・アーヴィング「サイダーハウス・ルール」など12作品について、ジェンダーや恋愛の観点から読み解く。かなり力が入った取り組みではなかったか。欧米文学については語り尽くされており、新しい視座を獲得するにはかなりトリッキーな手法で補助線を引かなくてはならないが、そのことにはクリアしていると思う。文学を読むこと、学ぶことはこの当時からすでに自明ではなかった。2025/04/21

nascimento

2
総じて意見は鋭く、楽しく読めるが、章によって出来にばらつきがある。中には性的ルサンチマンから発した愚痴としか思えないようなものも。一番面白いのは『風と共に去りぬ』の受容を論じた第1章。歴史における「マイナー文学」(ドゥルーズとは全く別の意味で)としての大衆小説の不遇が語られる。他に『王子と乞食』を擁護するマーク・トウェインの第2章も面白い。2011/02/22

nanchara_dawn

1
面白かった。小谷野敦がアメリカ文学について縦横無尽に語り倒す評論集。『エイジ・オブ・イノセンス』や『グループ』の問題意識が『源氏物語』に繋がっていく5章、8章は鮮やかだし、姦通文学である『緋文字』について論じていくうちにバイオテクノロジーの問題に辿り着く6章にははっとさせられた。読書欲の高まる一冊。2012/11/22

hikarunoir

0
スコセッシ論は必読。

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