内容説明
アルプスの小城から神聖ローマ帝国を経て、日没なき世界帝国を築き、二十世紀初頭の第一次世界大戦での敗戦によって崩壊するまで、約六百年間も続いたヨーロッパ史上最大の王朝。女帝マリア・テレジアの活躍、夢の都ウィーン、革命と戦争の十九世紀、花開く世紀末文化、その独特な多民族国家…。現代の目を通して、帝国の波瀾の歴史を多数の図版とともに描く決定版。
目次
第1章 ライン上流「鷹の城」から
第2章 日没なき世界帝国へ
第3章 オスマン・トルコ来たる
第4章 花開くバロック
第5章 マリア・テレジアの時代
第6章 会議は踊る
第7章 プロイセンに敗れる
第8章 多民族ドナウ帝国
第9章 夢の都ウィーン
第10章 世紀末精神の輝き
第11章 サライェヴォの銃声
エピローグ 中欧の復活
著者等紹介
加藤雅彦[カトウマサヒコ]
1927年、名古屋市生まれ。東大法学部卒業後、NHKに入局。ベルリン自由大学に留学。NHKベオグラード、ボン支局長、解説委員などを歴任。現在、欧州問題研究家。主な著書に、『ドナウ河紀行』(日本エッセイスト・クラブ賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
59
この本は200ページという薄い文庫版でバックに入れて持ち歩きもしやすいので、通勤時間などの短い時間でハプスブルク帝国の歴史を知るにはもってこいでした。自分と同姓の女帝マリア・テレジアや王妃エリザベートにはやはり興味がわきます。また別の機会に彼女達の生涯を追ってみたいです。それにしてもルドルフ1世からカール1世まで、何人のカタカナ名前が出てきたのか、分からなくなるほど長く続いたこの帝国なので、200ページでは著せないドラマの数々が気になるわけで、この本はあくまでハプスブルク入門のような内容です。2013/05/07
紫
3
中近世の約650年間にわたって中部ヨーロッパを支配したハプスブルク家とオーストリア帝国の歴史を約200ページの文章量ですっきり解説。イメージ先行で名前だけはよく知られているものの、ハプスブルク家の歴史は複雑怪奇。第一次世界大戦で滅んだものの、多民族共存の体制への評価は高く、戦勝国の政治的失策だったという批判まであることには驚き。「東欧」という区分は冷戦時代の政治用語で、歴史的・文化的には同じ地域が「中欧」と呼ばれていたという話も意外で、馴染みの薄いヨーロッパ史を教えていただいたのであります。星5つ。2022/05/03
ハル
3
ヨーロッパ旅行では予め持っていた方が良かったと思ってきた、ハプスブルク家の盛衰を判りやすく描かれている。2015/05/06
森
3
アルプスの小領主だったハプスブルク家が政略結婚と戦争によって領土を増やし、最盛期には世界帝国となり、没落していくものの多民族国家を維持し続け、第一次大戦後崩壊していく一連の流れを新書でまとめており、とてもわかりやすかった。特に「民族自決」の大義名分のもとに戦勝国による保護もないままにオーストリアから独立させられた小国が、紛争や独裁体制、ソ連による「東欧化」という悲惨な運命をたどったことや、ハプスブルクの超民族的な理念が欧州統合運動に継承されたことなどは、現代のヨーロッパを理解する上で重要であろう。2015/01/15
2watoyo
2
ふくろうの本『図説ハプスブルク帝国』をもとにした文庫版。逐一照らし合わせていませんが、文章がたぶん同じで、写真や図は小さく白黒に。お値段はふくろうの本の半分以下。