内容説明
太陽から二億三千万キロ離れた夏星。そこではP.U.Sという先天的病気の因子が住民を蝕み、人々は“新世界”への渡航を夢見ていた。斡旋住宅で兄シュイと二人きりで暮らすイオ。彼の元に残された謎の物質“ゼル”とは何か?二人を巻き込む壮大な闘いが今、始まる。超人気シリーズの第一巻。
著者等紹介
長野まゆみ[ナガノマユミ]
東京都生まれ。88年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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カナン
21
裏表紙の紹介文をちらと見る。…太陽は「ソル」でスペイン語、夏星は「シアシン」で中国語。振られているルビひとつ取っても、それが自由奔放に世界各国の音と色を拾い上げている世界観ににんまり。長野まゆみはこうでなくちゃ、と思う。同性間の性的描写も暈すことなく書かれているのに、生々しさや不快感は無く、何処か作り物めいて透き通った登場人物たちの果敢無さや残酷な美しさばかりが強く印象に残る。序章ということでさくさく行きたいのですが全巻揃ってないのが痛い。2013/11/24
冬見
20
久しぶりに。相変わらず何が何だか分からない。この不明瞭さが解消されることはないし混乱は深まる一方だが、それでいい。確かに、世界はそこにある。冷たく無機質なようでいて、境界を失うほど溶け合おうとする生々しさをはらむ。醜悪であるはずのそれらが、いっとう美しい。2016/12/19
橘
16
まだ物語の始まりなのでよくわからない世界ですが、この空気に揺蕩っていれば良いのかなと思いました。生々しい描写もありますが決して醜くなく、冷たく綺麗に感じます。続きも楽しみです。2015/05/04
波璃子
9
まったくわからないワードを分からないまま、こういう意味かな、と想像しながら楽しんで読んだ。実体が不確かで何かはっきり分からないからこそ、世界が無限に広がってゆく。2018/07/20
iuba
9
久しぶりの長野作品ですがSFということもあってかすんなり読み進められ、物語の行く末が楽しみになりました。ここに出てくるメインの男の子たちはみんな水晶のようですね。きれいで一時的に汚泥にまみれてもその輝きを失わずに冷たく光り続けている。関係性としてはシュイとハルがとても気になりますが、果たしてどうなることか……このお話、ずっと前にも読んだ気がするのですが、忘れてしまっているようでした。長野作品お得意の、恋と依存のあわいをそのままにしておくような関係性も素敵でした。2014/07/21




