内容説明
兄の部屋を偏執的にアサる弟と、罠を仕掛けて執拗に報復する兄。兄弟の果てしない憎しみは、どこから生まれ、どこまでエスカレートしていくのか?出口を失い暴走する憎悪の「黒冷水」を、スピード感溢れる文体で描ききり、選考委員を驚愕させた、恐るべき一七歳による第四〇回文藝賞受賞作。
著者等紹介
羽田圭介[ハダケイスケ]
1985年、東京都生まれ。2003年、『黒冷水』で第40回文藝賞を17歳で受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
オーウェン
63
羽田さんの初読みはこのデビュー作から。 デビュー時が17歳という若さであり、この兄弟の諍いを描いたドラマというのは自身の体験なのだろうか。 兄の正気と弟の修作のやり取りが主であり、修作の正気の部屋を漁るという習性。 それに対し正気は怒りを覚え報復するが、段々と狂気をはらんでいく展開。 危ういのレベルがのし上がっていくのが手に取るようにわかるし、エスカレートしていく様にどういう決着をつけるのか。 ラストは多分羽田さんなりのブラックユーモアなのだろう。 個人的にはあれは無くてもいいかなと思ったけどね。2021/08/12
★グラスハート★
62
2.5 17歳で文藝賞を受賞し、デビュー作。 弟が兄の机をあさり、兄は弟にトラップをしかけたり反撃する兄弟喧嘩なんだけど、表ざってはやり合わないがエスカレートしていく兄弟喧嘩。衝撃の弟の崩壊!と思ったら…まさかの衝撃的なラスト。 個人的には後半はリアリティが薄くなってきたので、あまり好きではないけど、17歳でこの作品を書くとはセンスの塊。 2021/09/26
アッシュ姉
58
羽田さん二冊目。陰気で粘着質なところがどうにも苦手で合わないようです。表面を追うのが精一杯で、作品の真の姿を捉えることができませんでした。2016/11/28
みっくん
44
最近テレビではあまりお見かけしなくなった羽田さん17歳のデビュー作。執拗なまでの弟から兄への家庭内ストーキング。そして兄から弟への執拗なまでの報復。最終的に兄は兄弟愛に目覚めた?感も見せたが、そこまでしないと目覚めないのかというような黒ラストw兄弟間の憎悪が黒冷水とは良く言ったもので、わからなくはない。。。w2016/08/21
MATHILDA&LEON
41
〈再読本〉兄弟喧嘩の物語、などと簡単にまとめられるものではない。怒りや嫌悪などの負の感情がこれでもかと描かれており、血が繋がっているからこそ許容出来ず、徹底的にやり合ってしまう二人に、読者は複雑な気分に。本作の凄いところは、ラストの一文。これが人間というものなんだと衝撃を受け、同時に悪寒が走った。2016/07/27
-
- 和書
- やさしい電子物性