内容説明
君子然として倹約を強いる八代将軍・徳川吉宗。尾張藩主・宗春は甲賀忍者と尾張柳生を使って、かつて吉宗が寵した女たちを日本橋に晒し、その漁色ぶりを痛烈に揶揄する。これを阻止せんと吉宗は伊賀忍者と江戸柳生に秘命を下した!将軍の愛妾をめぐって忍者と剣士が入り乱れる大幻魔戦の結末は―。
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922‐2001年。兵庫県生まれ。1949年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で第2回探偵作家クラブ賞を受賞。1963年から刊行された「山田風太郎忍法全集」で忍法ブームをまきおこす
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感想・レビュー
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けやき
47
【再読】今回の忍法帖は、江戸享保年間。将軍吉宗と尾張宗春との対立に、江戸柳生と尾張柳生の因縁。そして将軍ご落胤の天一坊さま。最高の舞台だぜ!でも、そんな背景を知らずとも楽しめるのが、やっぱり山風作品なんだよね。2016/10/04
ゆめじ
14
御土居下組甲賀&尾張柳生VS御庭番伊賀&江戸柳生による 、忍法対決も剣法対決も楽しめるミックスランチ定食みたいな作品。剣戟シーンに加え、忍法帖の中でも特に派手な忍法が飛び交うので面白い。しかし登場人物が多く、誰がどちらの陣営なのか、あるいは忍者か武士なのか混乱することが多かった。それと剣士がどうしても忍者の噛ませ犬になる。仕方ないね。2020/07/22
Katsuto Yoshinaga
9
久しぶりに山風忍法帖に耽る。伊賀忍者7人、江戸柳生7人vs忍者7人、尾張柳生7人が吉宗の元愛妾10人中の7人を巡ってバトる、というだけの話。これが滅茶苦茶面白い。対戦者28人と愛妾7人以外にも愛妾のお付きやら周辺人物もあわせると、約370頁の登場人物は一体何人なんだ。対決と官能が交互に描写され、対決シーンは残虐だし官能シーンはかなりエロい。これが1962年の作品なのか。そして、主人公は?ヒーローは?ヒロインは?と考えると誰もいない。なのに、この面白さはなんなんだ。これぞ、天才のなせるワザというべきか。2018/08/17
ほしけも
9
かなり悲惨な話。スキャンダルを暴きたてようとする勢力とスキャンダルをもみ消そうとする勢力の闘い。それぞれがおばさんたちとその関係者をころすという方法をとるのでどっちに転んでも彼女らにとっては悲劇。しょうもない理由で命をかけさせられる忍者も悲劇。忍法はシリーズトップクラスの奇抜さ。2015/03/16
浅木原
4
登場人物多すぎィ! 甲賀と伊賀で忍者があわせて14人、尾張柳生と江戸柳生の剣士もあわせて14人、それに標的になる吉宗の元愛妾が7人+その周囲の人間……400ページ以下の話で50人ぐらいいる登場人物はさすがに途中で覚えるのを断念。個々の忍法は相変わらず笑えるし対決も面白いはずなんだけど覚えきれないのでなんとも。作中でも忍者たちが「柳生邪魔」って言ってるけどホンマそれな……。もうちょい整理してほしい。風太郎作品にときどきある、詰め込みすぎて何がやりたかったのかよくわからなくなった作品の典型例ですかね。2016/02/25