内容説明
鏡、古時計、扉…ごく身近なオブジェから紡ぎ出される夢想の数々。部屋を飾るとは、そこに物語を見出すことにほかならない。読者の想像力を刺激する自由な発想が満載の『夢のある部屋』。著者の暮らす古都鎌倉の歳時記をはじめとして、女性の魅力、ファッションの意味などが筆者独特の視点で語られる作品を併載。ゆったりとした時間を演出する極上エッセイ。
目次
夢のある部屋(飾るということ;楽器について;豪華な白;額縁のなかの春;振子の音 ほか)
夢のある風景(私の気になる物たち;鎌倉風物誌;衣裳について;愛の変奏;遊びのすすめ)
著者等紹介
渋沢龍彦[シブサワタツヒコ]
1928年東京に生まれる。本名龍雄。東大仏文科卒業後、マルキ・ド・サドの著作を日本に紹介するかたわら、人間精神や文明の暗黒面に光をあてる多彩なエッセイを発表。晩年は小説に独自の世界を拓いて、広く読まれた。1987年没
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感想・レビュー
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優希
65
著者にとっては部屋そのものが夢の空間なのでしょうね。独特の美意識が者や生活のこだわりにつながっているのだと思いました。部屋を飾ることは、物語を生み出すことに通じているようで、不思議な世界へと身を流されているように感じます。女性の魅力の見方は昭和の人だなと思わずにはいられませんけど。それまで何気なく見ていたものの見方が何となく変わるような気がしてなりません。生活全ての歳時記とも言える作品でしょう。2014/11/04
青蓮
54
久しぶりに澁澤龍彦のエッセイを読みました。軽く読めるので面白かったけれど、彼の女性論(?)はちょっと受け入れがたい。時代のせいもあるのかも知れないけれど。それにしても女装したエピソードが笑えた。本人曰く、「わたしは自分でもおどろくほどの、オードリー・ヘップバーンに似た凄艶な美女に一変していた」そうな。これはちょっと見てみたい。2015/08/03
Tui
25
定期的に耽溺したくなる作家のひとり、澁澤龍彦。この文庫本はアンソロジー的な性格なので澁澤入門者の私でも安心して楽しめました。フェティッシュな趣味についてはさらりと紹介程度に、棲まいのある北鎌倉明月谷の風景はひたすらに美しく、後半のユートピア論は舌鋒鋭く、とバランスよくエッセンスが網羅されています。ここから、澁澤訳「ソドム百二十日」に辿りつくまでどのくらいクッションを挟めるか楽しみ。とりあえず次は「高丘親王航海記」あたりかな。2015/06/10
♪mi★ki♪
22
フランス文学者澁澤先生が、生前住んでいた鎌倉の家と動植物を愛でる生活を語ったエッセイ。何と健全な…。と思ったら、来客女性達の好奇心につけ込んで貞操帯のレプリカを装着させて観察し喜び、また変態行為推奨。流石は変態だらけフランス文学者。平常運転の澁澤先生でした。ところで、装着させた貞操帯は、ちゃんといちいち洗ってたのでしょうか?私は、そこが一番気になります。(~_~;)2016/08/31
べりょうすか
8
女性差別的な考えはちょっとついて行けない。それを除けば面白かった。独特の美意識がすてき。何より澁澤さんの部屋羨ましいなぁ。2014/06/05
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