内容説明
ゲーテにならい南イタリアに植物の原型を訪ね、日本列島の各地には自然を構成する四大元素の風景を訪ねる。そして中近東では―「どうやら私の旅行記は、バビロンの架空庭園の廃墟から出発して、ふたたび架空庭園の幻影にたどりついたもののようである。この幻影を薔薇の花のように、いつまでも新鮮に保つためには、いずれまた、旅行に出なければなるまい。」
目次
ペトラとフローラ―南イタリア紀行
千夜一夜物語紀行―中近東への旅
日本列島南から北へ
著者等紹介
渋沢龍彦[シブサワタツヒコ]
1928年東京に生まれる。本名龍雄。東大仏文科卒業後、マルキ・ド・サドの著作を日本に紹介するかたわら、人間精神や文明の暗黒面に光をあてる多彩なエッセイを発表。晩年は小説に独自の世界を拓いて、広く読まれた。1987年没
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感想・レビュー
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双海(ふたみ)
22
「表題は妻の発案による。録して彼女のために記念しよう」と”あとがき”にあります。澁澤さんご自身にもハッとするような著書名(とりわけ『記憶の遠近法』が好き)がありますが、奥様もなかなかよいものをお持ちだったのですね。2015/02/03
マッキー
11
澁澤龍彦の旅行譚。イタリアや中東を巡る筆者。建物を歴史的な視線で眺めてみたり、宗教や古代書物と関連させて文を連ねたり。一般的な「観光ガイド」とも「旅行記」とも一味違う本でした。2018/04/19
夏子
9
学生の時以来の再読。イタリア、中近東と日本各地の四大元素にまつわる場所への紀行エッセイ。どの土地もまだ訪れたことの無い場所ばかり。シチリアはいつかこの本を持って行ってみたいです。2015/11/02
ごく
6
多彩な歴史を刻んだせいか、時代と共に忘れられた南イタリアとシチリア島。もう少し、この地を旅したくて手に取る。その後、中東経由で日本列島南から北へ、なかなか訪れない地を案内してくれているのだから贅沢な1冊だった。190年前に訪れたゲーテの「イタリア紀行」を念頭に旅をしているが、古びたとはいえ、著者はゲーテと同じような風景を見ていたに違いない。出版から40年。古今東西の激しい観光地化前の、大変だけど、のんびりとした手探り旅行感が楽しかった。著者の写真が多く、一緒に旅をした気分。澁澤龍彦氏のファンブックなのかも2019/05/21
さたん・さたーん・さーたん
3
収まるところを知らない知識と好奇心を携えて、西へ東へ海越え山越える旅の軌跡。書物を通して見知ってきた各所を体感しに行くが、彼の精神世界を培うのに大きく貢献してきたであろう異国の著名人たちを追った南伊、大陸東西を結びつつ異色の文化を花咲かせる中近東とともに、国内旅行も体力的にハードそうに見えながら満喫しておられる。2018/07/18