内容説明
驚異の名訳ベストセラー、ついに文庫化!―その下巻は、第百八十七段「風は―」から―第二百九十八段「『本当なの?もうすぐ都から下るの?』って言った男に対して」まで。さらに、「本篇あとがき」と、「別のヴァージョン」一から二十七までを併録。
目次
風は―
野分の次の日っていうのが
ちょっと気になるもの―
島は―
浜は―
浦は―
森は―
寺は―
お経は―
仏は―〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
meg
35
おもしろかった。とにかく。 今NHKで放送されてる「虎に翼」に通じるものを感じた。女性の置かれた境遇、すなわち社会に立ち向かう女性の姿。あるときは笑い、あるときは苦しみ。そんな日々の営みは平安時代からの歴史に刻まれているのかもしれない。2024/06/19
山口透析鉄
28
単行本の項目が見つからないので下巻にだけ記事を載せておきます。 橋本治氏のこれを読んだのは高校生の頃だったと記憶しています。当時の古典をこういう大胆な口語に翻訳したのは、本当にあっぱれでした。ずっと読んでいると疲れるんで、少しずつ読んだような。 橋本治氏は結構、文豪だったようには思いますが、生前にはあまり読めず、これから読みたい1人です。1988/03/05
てらこ
19
やっと下巻へ。『枕草子』を書き始めたきっかけや、タイトルの由来に触れたあとがきも面白かった。全巻通して「〇〇って素敵!」と平安貴族のキラキラ感が綴られる中、主人・定子の悲運を思わせるエピソードがチラッと入るのが切ない。。いろいろ大変だけどたくましく生きてたわよ!という姐御肌な"橋本版"清少納言の語りが、千年前の日常を生き生きと感じさせてくれました。2020/04/05
練りようかん
18
文章の勢いから清少納言のパーソナリティがガンガン伝わってくる楽しい訳。学校の授業や大河ドラマはしっとりとしたイメージを受けたけれど全く雰囲気が違うのが面白い、当時の知識をあけすけに説明する話し口調の[註]はとっても役に立ち、女房にキャリアとつけるナイスルビや帝はスターで摂政・関白は芸能プロの大マネージャーなどあー!と声に出るほどの分かり易さが流石。出版は80年代の為部分的に通じないところもあると思うが、現在勉強中の人達にとっても良いテキストに成り得ると感じた。印象に残ったのは男のファッションと色について。2024/07/18
きゃれら
17
上、中巻と比べるとスイスイ読めた。慣れたのが大きかったし、原文を時々参照したことなどもよかったのかも。ただ、岩波文庫とは段数が違っているのはちょっと閉口。本書で色々ヴァージョン違いがあることを作者に憑依した訳者が語っている。濃厚な註にもだんだん興味を持って取り組めたが、読み終えてみると、これくらい詳しく説明されないと何が何だかわからなかった気がする。他の訳はどうなっているんだろう。酒井順子さんのにいってみようかな。2024/07/12