内容説明
変装魔アラバール、市街魔術師フーデニらの不思議な才能を活写し、ダリ、馬琴、クロソフスキー、ボルヘス、ヴェルヌ、ルッセル、久作、太宰らのテクストを独特の視角で腑分けし、棺桶から消しゴム、サーカスまで日常のモノたちを“影の美術誌”に位置づける。―果てしなく「見る人」寺山修司の面目躍如たる奇想天外な、“現代の徒然草”。
目次
1 パンドラの匣―悪魔の肖像画
2 謎の表現
3 影の美術誌
4 猟奇歌―私の消し方
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白米
2
たまらなく好きな世界。アンダーグラウンドで頽廃的なエッセイ。耽美で泥臭い。夢野久作「猟奇歌」についての考察は興味深かった。『魚服記」については共感せず。そんな歪んだ読み方しなくったっていいんじゃない。私は最後、鮒に死んでほしくない。ただ、「グチっぽい男が大きらいなのだ」には共感。 変な消しゴムを見つけたら届けてあげたい。2016/06/04
Genki Osajima
0
あらゆる物語は書かれつくされてしまっていたのである。これからの作者の仕事は、消すという手仕事でしかない。 日本の古典から近代芸術まで取り扱った評論集。うまく表現できませんが、寺山修司は精神的畸形だったのだろうか、と考えてしまいます。彼自身が有する欠落を埋めるための、もしくは過剰を放出するための活動であった。といってもそれによって正常を取り戻そうとしたのではなく、ただ「なぜわたしはわたしなのか」という答えを得る手段に過ぎなかったのではないでしょうか。
ハチワレノヤマ
0
初っぱなからダリとオナラの話なんて読む人を選びすぎる笑 寺山修司にしか書けない本2013/02/19
桜井夕也
0
「自分より優れた者が 皆死ねばいいにと思ひ 鏡を見てゐる」(夢野久作) 「人間は問いを発し、しかも、『私は誰なのだ? 私は何なのだ?』という希望のない問いかけが自分の中に開く傷口を、閉じることができない」(バタイユ)2012/12/28
amplecutter
0
タイトルと装丁が格好良くて、思わず手に取った。アラバールやレイモン・ルッセルの作品を読んでみたくなった。あとポケットサイズの棺桶図版も一度見てみたいな。鏡と水死の連想には共感が湧く。2012/08/11
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