内容説明
僕は運命を信じない運命論者。15の時に時間を止めた。25歳で老人になった。そして31歳で時間軸がグルッと輪をかいた。―自己の発見、行動の規範、男女の性差、思考の手順、現実を生きることと知ることの違い、人生のやりなおし方…。若き日の精神史を背景に、末来の扉を開けるために必要な、強く鋭く心に迫る警句がふんだんにちりばめられた「人生の実用書」。
目次
きみが誰かであるように
たとえばきみが男の子なら
ずっと昔、きみがなにかをしかけた頃
招かれなかった舞踏会
そこを、きみが通って来た時間たち
夢の中、時の外
時間軸よ、ゆるやかにねじまがれ
人生が通り過ぎてしまう前に
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
9
「アラビアのロレンスは、「運命は自分の手で切りひらくものだ」といった。そこで僕は、「僕は運命を信じない運命論者だ」って言う。片一方は人を勇気づけるし、片一方は人に「バカか⁉」と思わせる。マァいいけどさ、ちょっと、ここら辺の矛盾を解明してみようね…ついでに言うけど、"運命論者"って、運命を信じて運命に殉ずる人のことね。歴然と矛盾でしょ。ところがこれは矛盾じゃないかもしれない。なぜかっていうと、おもしろいから。…この"運命"に関する二つの矛盾は、勇気づけられたり、笑えたりするから、矛盾じゃないのかもしれない」2020/01/23
♨️
4
まっさらの赤ん坊や子供だったころ、きみは、カッコよくなれ、可愛くなれと言われて(あるいはもっと「民主的な」親なら)なるな、と言われて育ってきた。きみは、そう言われながら、自分自身のカッコいい、かわいいを見つけようとしていた。でも、きみは、どこかでそれに挫折しちゃったんだよね(挫折してない? それなら、きみは望みが叶わなかったこともなければ、そもそも何かを強く欲することをしたことだってないのかもしれない)。それで、全てを諦めて「普通の人間」になった。2021/09/25
s_n
2
数年ぶりに再読。著者曰く「人生の実用書」。はじめて読んだときはしつこく語りかける文体などが衝撃的な作品だったが、今読んだら青すぎて恥ずかしくなった。随筆だが『ライ麦畑』のような小説だと思うと読みやすい。2012/03/31
みーこ
1
時間をとめてたけど、巻き戻すきっかけになる友達を、私も見つけた。2024/12/27
ネルシュン
1
橋本治らしい、橋本治にしか書けない本だと思いました。2022/01/31