内容説明
日本歴史の源流は何処に求められるか?伊勢神宮か、飛鳥古京か、意外にも遠く飛騨・高山か?埼玉県の高麗神社には何が秘められているのか…。敗戦後10年にも満たぬ昭和20年代後半に、あらゆるタブーを乗り越えた前人未到の地平から古代史の謎に取り組んだ驚くべき業績。敗戦により剥き出しにされた祖国の実像を大胆に描破する日本再発見大紀行。いま甦る安吾歴史三部作の代表的名著。
目次
安吾・伊勢神宮にゆく
道頓堀罷り通る
伊達政宗の城に乗り込む
飛鳥の幻
消え失せた沙漠
長崎チャンポン
飛騨・高山の抹殺
宝塚女子占領軍
秋田犬訪問記
高麗神社の祭の笛
安吾新日本地理・坂口安吾年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
89
お気に入りさんの感想を読み手に取ってみました。坂口安吾は「堕落論」などを読んでいるのですが、このような面白いエッセイがあるとは知りませんでした。勝手に自分の感じたことなどを書き連ねていて読んでいて小松左京を思い出しました。「道頓堀罷り通る」などは笑ってしまいます。「飛騨・高山の抹殺」などは、北森鴻さんが題材にしそうな感じがしました。2024/05/16
ももや
8
安吾は妄想のタツジンだったのだと思う。次から次へと妄想が湧き出て、それを文章に書きとめるのが間に合わなくて、たびたびややこしい漢字のカタカナ表記をランヨウするのだと思う。この妄想力、タモリさんに共通するところがある。タモリさんは忖度の人だけど安吾はソンタクしないね。思ったこと全部書いちゃう。まあ、多少フキンシンなこと書いても活字になるだけだし、いちいち目クジラ立てて文句言う人もいなかったんだろう。京都駅の古本市で購入。40年ぶりくらいの再読でした2022/11/28
わっふる
6
「長崎チャンポン」は、長崎旅行に行く前に読まなくては!と旅行前日に読んだ。男も女も大食いの部分を「ふ〜ん」と流し読み。長崎到着後、たまたま入ったお店の皿うどんの量の多さに絶句❢完食したのが8人中2人という敗北感•́ ‿ ,•̀ 安吾の観察眼に、他の話も面白いに違いないと全話読破に挑戦。最終話は日本人のルーツ?のようなことにまで話が及び興味津々。大変面白かったです。2023/11/29
Gen Kato
3
紀行文におさまりきらない安吾の古代史「タンテイ」ぶり、ぞくぞくする。2016/10/12
gibbelin
3
面白いや。ある章で、「飛騨」はメンドウな字だから、以後カナで書かせてもらいますよ、なんて笑っておられるが、ワープロの普及以前は、文士先生はみな、原稿用紙に向かってかりかり、まさしく筆耕をされていたわけで。デスパレートな芸風の安吾先生ですらこうなのだから、司馬サンあたりが何を考えて原稿用紙に向かってたか、なんてのが、古事記に匹敵する謎にならないともいえない。2016/04/25