感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
韓信
1
非人間的な武士道など、人間の怖さを描いてきた著者にしては珍しく幻想小説風味の短編小説集。滝川一益の最期にまつわる伝承、J・M・バリーの小説の翻案など、神隠し、幻視、タイムリープなどのアイデアを盛り込んだ珍しい歴史・時代小説揃い。城主と宿老がそれぞれ互いの影武者を養成して覇権争いをする「陰と陰と陰と陰とー」が落語のようで面白い。「十六代様の幻想」は、著者が徳川家16代の家達の孫の家庭教師を引き受けて、貧乏下宿に毎日高級車のお迎えが来るという展開がマンガみたいで笑ってしまった。2020/07/26
アヴィ
0
残酷小説の第一人者である作者だが、SF風やミステリー味の作品も多く、本作はファンタジー寄りの時代小説。どれも面白いが、二人の侍が味わい深い。老いた浪人の侍が、自分の若い頃をなぞる様な人生を送る若い侍との会話だけだが、終わり方が非常に印象的。2024/10/13




