出版社内容情報
■本書の概要
子どもが考え始めるのは、自分の知っていることと違う何かに出会った時。例えば、昆虫の脚が6本だと知っている子がモンシロチョウの幼虫を見たら、「あれ? 脚が16本ある?」と考え始めるでしょう。子どもの思考を促すためには、このような子どもの「あれ?」を引き出す仕掛けを授業に組み込んでいくことが大切です。本書では、「ずれ」を効果的に活用するための3つのポイントを丁寧に解説するとともに、「ずれ」を活かした魅力的な授業事例をたっぷり31例紹介しています。
■本書からわかること
3種類の「ずれ」
子どもたちは、どんな授業を面白いと感じるのでしょうか? 著者が小学生にアンケートをとったところ、「友達の意見と自分の意見が違っていたとき」や「実験の結果と自分の考えが違っていたとき」に、面白いと感じることがわかりました。つまり、自分の考えと何かとの間に「ずれ」が生じているときに意外性や面白さを感じ、思わず考えたくなるのです。このような「ずれ」に気づいた状態を、教育心理学では「認知的葛藤」と呼びます。
本書では、この「ずれ」を3種類に分類して、詳しく解説しています。
①事象とのずれ:自分の考えと事象との間に生まれる「ずれ」
②仲間とのずれ:自分の考えと仲間の考えとの間に生まれる「ずれ」
③成果とのずれ:自分の考えと自分のパフォーマンスとの間に生まれる「ずれ」
「ずれ」を活かす3つのポイント
「ずれ」は多ければ多いほどよいのでしょうか? 実は、多すぎると意外性が薄れ、「ずれ」に飽きるという逆転現象が起きてしまいます。授業の中に「ずれ」を適切に組み込むことで、子どもの好奇心を刺激し、思考を深めることができるのです。本書では、次の3つのポイントを提示して、「ずれ」を活かす手立てを解説しています。
ポイント① どのタイミングで「ずれ」を起こすのか
ポイント② どのように「ずれ」を提示するのか
ポイント③ どうやって「ずれ」を解消するのか
「ずれ」を活かした31例の授業実践
本書では、3種類のずれを活かした授業事例を、全学年、全領域にわたって、31例掲載しています。3つのポイントをふまえながら、子どもの「あれ?」を引き出す仕掛けを組み込んだ、選りすぐりの授業実践です。
「ずれ」の視点がもたらす授業力向上のヒント
「ずれ」について知ることは、教師にとって、自分の授業を見直し、指導を変化させるきっかけにもなります。
【目次】
はじめに
第1章 ずれとは何か
1 ずれがあるから考えたい!
2 人によってずれの対象は違う
3 ずれから世界の広がりを予感する
4 ずれは意外性
5 3種類のずれ
第2章 授業にずれを活用する
1 ずれを活用する3つのポイント
ポイント① どのタイミングでずれを起こすのか
ポイント② どのようにずれを提示するのか
ポイント③ どうやってずれを解消するのか
2 ずれという視点から見えてくるもの
第3章 ずれを活かした授業事例
【事象】
1 見た目は同じ、重さが違う!? 3年粒子
2 水と空気を温めたら噴水! 4年粒子
3 どうあたたまる?二股試験管の水 4年粒子
4 グラフの落とし穴 4年地球
5 マグネットシートは磁石なの? 5年エネルギー
6 溶けたはずなのに 5年粒子
7 時間帯によって溶ける量が違う!? 5年粒子
8 インゲンマメがもやしになった!? 5年生命
9 ざわざわ動く不思議な粉 5年生命
10 つり合ったのに、重さは違う? 6年エネルギー
11 鉄は水に溶けない……よね? 6年粒子
12 手作り空気で燃焼実験 6年粒子
13 なぜ公園は落ち葉であふれないの? 6年生命
【仲間】
14 ダンシングスネークはなぜ踊る 3年エネルギー
15 しゃがんで体重を量ってみよう 3年粒子
16 カブトムシの胸はどの部分? 3年生命
17 ヒマワリのタネを描ける? 3年生命
18 かげのでき方を予想しよう 3年地球
19 草は冬には枯れているよね? 4年生命
20 しみこみやすい砂を集めよう 4年地球
21 あえて自由に水を流すということ 5年地球
22 火は何色? 6年粒子
23 月と太陽の大きさは? 6年地球
【成果】
24 もっともっと速いモーターカーを作ろう 4年エネルギー
25 撃て!ホースでっぽう 4年粒子
26 振り子の実験、自分でできる? 5年エネルギー
27 メダカをオスとメスで分けよう 5年生命
28 チューリップのがくはどんな形? 5年生命
29 自転車で発電をしよう 6年エネルギー
30 キャンドルランタンの火が消えちゃう! 6年粒子
31 恥ずかしさも忘れるだ液の実験 6年生命
おわりに
内容説明
3つのポイントを押さえた授業を31例掲載!
目次
第1章 ずれとは何か(ずれがあるから考えたい!;人によってずれの対象は違う!;ずれから世界の広がりを予感する ほか)
第2章 授業にずれを活用する(ずれを活用する3つのポイント;ずれという視点から見えてくるもの)
第3章 ずれを活かした授業事例(事象とのずれ;仲間とのずれ;成果とのずれ)
著者等紹介
安部洋一郎[アベヨウイチロウ]
兵庫大学教育学部准教授、博士(学校教育学)1981年生まれ。神戸大学発達科学部人間発達科学科を卒業後、Geelong Grammar School Timbertop Campus(オーストラリアビクトリア州)言語アシスタント、西宮市立小学校教諭、現職教諭の傍ら兵庫教育大学学校教育研究科専門職学位課程修了、同大学大学院連合学校教育学研究科博士課程修了、西宮市教育委員会指導主事を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。