内容説明
1965年に明るみに出た「ムーアズ殺人事件」。イギリスで二人の男女が4年にわたり5人の子供を残虐に殺して荒野(ムーア)に埋めていた事実が明らかとなった。「もう何年も本の中で子供たちを殺してきた」と自ら言うエドワード・ゴーリーが、この現実に起きた悲惨な事件によって心底動揺させられ、描いたのが本書である。
著者等紹介
ゴーリー,エドワード[ゴーリー,エドワード][Gorey,Edward]
1925年、シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章と、独自のモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表している。またエドワード・リアやサミュエル・ベケットらの作品の挿画、劇場の舞台美術なども手がけた。幻想的な作風とアナグラムを用いた(Ogdred Wearyなど)ペン・ネームを使い分けてたくさんの私家版を出版したために、多くの熱狂的コレクターを生みだした。2000年4月15日、心臓発作のため死去。享年75歳
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年、東京生まれ。アメリカ文学研究者。東京大学文学部助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
258
めちゃくちゃ怖い。これ絵本なんですか?しかも実話なんですね。二人とも幼少のころからそういう素質を持っていたと思うし、出会っても出会わなくてもこういう人生なのかなとも思ってしまいました。文章は淡々としているので逆にそれも怖いです。2021/01/24
gtn
186
実話「ムーアズ殺人事件」を物語化したもの。善であれ悪であれ、共通の傾向性を持つ生命が引き付け合う。それが悪の場合、よっぽどのことがなければ最悪の結果を招く。著者はおそらく運命論者のようだが、運命を変える"よっぽどのこと"はあると信じる。2020/07/27
文庫フリーク@灯れ松明の火
180
【ゴーリー誕生日読書会イベント】1960年代英国で実際に有った「ムーアズ殺人事件」10歳~17歳までの少年・少女5名を(性的暴行含むサディズムの果てに)殺害し荒野(ムーア)に埋めたイアン・ブレイディとマイラ・ヒンドリーを題材に、ゴーリーが物語にせずにはいられなかったと云う、後味の悪さだけが残る大人の絵本。表紙をよく見ればマジンガーZ・あしゅら男爵のような右半身女性・左半身男性の人物に手を握られた幼子。足元の縛られた包みから突き出た手。乾いたブラックな笑い皆無の救いの無さ。まさしく『おぞましい二人』でした。2015/02/04
Vakira
171
読友さんの紹介で本を探し、読んでみた。以前大好きな映画監督ホドロフスキー繋がりでメビウスの絵本を見、そのシュールな絵柄に衝撃を受けたが、今回見たゴーリーはその画像は淡々としていて衝撃は受けなかったんですが、ストーリーと合わせたこの絵は凄い。淡々としていているのに怖いんです。この本探すのに苦労したんですが、絵本の分類ではないですね。大人の絵本の分類なんでしょうか?大人の絵本コーナー作って貰いたいですね。絵本の主人公は子供たちを殺す殺人鬼なんで、最初見た時はなんじゃこりゃ!って感じ。作者の意図を考えさせられた2014/12/27
AKIKO-WILL
150
ゴーリー3冊目。この絵本は現実にあった話を書いているらしく読んでいて救いようのない二人と無惨に殺された子供たちのやるせなさにかなり後味が悪かったです。日本でもあり得るこのような事件。理解するのは難しいけど眼を背けてはいけないと警鐘していると感じます。2016/05/31