内容説明
脳の容量も知能指数も人間の知能を測る尺度とはなり得ない―頭蓋計測やIQテストなど、人種差別に根拠を与えてきた19世紀以来の生物学的決定論の誤謬をあばき、科学者の社会的責任を問う注目のエッセイ。『ベル・カーブ』批判など5篇を増補。
目次
第1章 序文
第2章 ダーウィン以前のアメリカにおける人種多起源論と頭蓋計測学―白人より劣等で別種の黒人とインディアン
第3章 頭の測定―ポール・ブロカと頭蓋学の全盛時代
第4章 身体を測る―望ましくない人びとの類猿性の二つの事例
第5章 IQの遺伝決定論―アメリカの発明
第6章 バートの本当の誤り―因子分析および知能の具象化
第7章 否定しがたい結論
『ベル・カーブ』批判
三世紀間に見られた人種に関する考えと人種差別主義
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
20
研究において無意識のうちに結論から導き出していく可能性は多々あると思います。また人間を差別できることを科学的に証明しようとすることにも違和感があります。2024/08/26
Ribes triste
7
20年ぶりの再読。グールドといえば、進化にまつわる軽妙なエッセイで有名ですが、この本は科学史の中でも負の歴史といえる、過去の優生学や遺伝学についての検証と反論をまとめた本です。データが恣意的に選抜され、政治に利用されていく過程を明らかにすることで、生物学者として誠実に公平であろうとするグールドの熱意に心うたれます。2017/04/03
ネオおしりいぬ
0
本文で述べているような問題が解決しても、他にいくらでも欺瞞の入り込む余地があるぞ!と宣言するような訳者後書きがヤバイ2011/12/31
orange21
0
差別的言説とそれに対する具体的な反証。故に資料的な面白さしかない部分もある。2008/07/17