感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イトノコ
21
図書館本。2020年、子供の家庭でのネット・ゲームの時間を1時間と定めた「ゲーム条例」が香川県で施行された。しかしその成立過程には不透明な点が。/ゲームの功罪についてはひとまずおく。何よりの問題点は、条例成立・運用において議員連盟の取った方法だ。(疑惑が本当であれば)パブリックコメントを捏造・水増しし、更に本来の用途ではない賛成・反対の二元論に落とし込んで賛成8割という数の論理で議論を封殺。現時点では科学的に直接のエビデンスとはならないデータを(意識的にか無意識にか)恣意的に解釈して印象操作。続く2023/08/03
はじめさん
14
ゲームは1日1時間! ゲーム機なりスマホを買い与えるのか、どれくらい遊ぶのか、んなもんはそもそも家庭の問題。それをなんか条例作って可決してしまった、我らが香川県。どんな議会のパワーバランスでそうなってしまったのか、そしてその後の施行を受けて人々はどのような反応をしたのかのルポタージュ。/ 同一IPで何度もされまパブリックコメント。闇に消えたPC。/ 放課後自由時間にゲームしようが勉強しようが人それぞれでいいと思いますが…学級崩壊で授業中に触ってるとかはあかんだろうけど。デジタル庁だかうどん県だか知らんけど2023/06/29
チェアー
8
とてもわかりやすく条例の問題点を示している。単に条例の内容を書くだけでなく、筆者の実体験と考えたことをもとに論を進めているところがとても読みやすく、共感する。条例施行後、2年、3年たっても追い続け、ある意味「しつこい」記者であるところが素晴らしい。違和感を持ったら、それをとことん追求する姿勢を見習いたい。 2023/05/16
せい
6
制定の科学的根拠が薄く、必要性が不明確。パブコメを条例制定ありきで恣意的に利用し、しかもパブコメそれ自体に条例制定側に有利になるような捏造疑惑も持ち上がる。そして、規制される側の子どもたちに意見表明の場を一切設けないという子どもの権利条約違反。数々の問題があるにも関わらず、一部の議員の実績づくりのためにこんな民意丸無視の条例が作られてしまう恐怖。市民が関心を持って公権力に向き合っていないとこんな不誠実も簡単に罷り通ってしまうんだな、と。条例を巡る動きを冷静に、多角的に捉えている読み応え抜群のルポ。2023/07/04
とろりんとう
5
2023年6月日経新聞書評。積読本となった時にお気に入りの方が読了。なかなか厳しい意見であったが、新聞記者が事実を丹念に調べており、詳細を知らなかった私は整理できた。安部元首相以降から続く(前も同じかも)、政治家の独善的且つ説明不足な対応が地方自治体でもまかり通っている。ゲーム条例自体は時期尚早なのに、何故そんな急いだのか?政治に対する不信ばかりが募る。一方で、以前読んだ成田悠輔著にあった無意識データ民主主義の危うさも感じた。残念ながら現在でも香川県では「自由民主党香川県政会」が第一党であり続けている。2023/08/14