出版社内容情報
人間、一皮剥けば色気と食い気!? 江戸時代の貴重な日記史料を読み解き、江戸人たちの「性」と「食」事情にせまる一冊!!
永井 義男[ナガイ ヨシオ]
『算学奇人伝』で第6回開高健賞を受賞し、本格的な作家活動に入る。江戸の風俗に精通し『幕末一撃必殺隊』『影の剣法』ほか多数の時代小説を執筆。ノンフィクションに『図説 吉原事典』『江戸の売春』など。
内容説明
教科書には載ってない、素のままの江戸がみえてくる!!武士はたとえ貧窮しても凛としていた!?日記を読み進めれば、これまでの美化された武士像がくつがえる!!
目次
第1章 忍藩士の、のんき暮らし『石城日記』尾崎石城(久しぶりの忍城下;ゆるい日々 ほか)
第2章 勤番武士の、のほほん生活『酒井伴四郎日記』酒井伴四郎(江戸へ;藩邸の生活 ほか)
第3章 桑名藩士のイクジイ日記『桑名日記』渡部平太夫(天保十年平太夫五十六歳;天保十一~十二年平太夫五十七~五十八歳 ほか)
第4章 武士の性の醜聞『井関隆子日記』井関隆子(井関家の正月;武士の醜聞 ほか)
第5章 元側室を尋ねて『游相日記』渡辺崋山(去った側室;お銀さまを尋ねて ほか)
著者等紹介
永井義男[ナガイヨシオ]
1949年福岡県生まれ。東京外国語大学卒業。1997年『算学奇人伝』で第6回開高健賞を受賞し、本格的な作家活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キムチ
43
8割は何かで読んだ記憶。筆者の巻末の言葉は大いに頷く~江戸期の武士像って大正から昭和にかけての作家が作ったのが独り歩きしている・・藤沢周平、海音寺、司馬、そして葉室さんもね。でも江戸期はもっと下卑ていて生臭く、暇を持て余す老若男女がたむろしていた!とは私の推測。金なし、暇あり、やる事なし・・で日暮れが早く、暗い。となりゃすることは一つ。風俗道具のグロの類って聞くし(見たくもないけど)浮世絵作家はその方面で名をあげ稼いだ。ただ、桑名藩士のじいじの孫育てはなかなか面白い・・その子は21歳で夭折とはね・・シュン2017/08/11
HMax
34
性と食とあるが、当時の生活では当たり前のことを書いた5冊の日記を題材に幕末の生活を振り返る一冊。石城日記は「幕末下級武士の絵日記」、酒井伴四郎日記は「幕末単身赴任 下級武士の食日記 」を読むと更に詳しく楽しめます。いずれも江戸に出ると浅草寺詣でに合わせて吉原見物、吉原で遊ぶお金がないので見物だけというところが寂しいようですが、花魁道中を見て感激し大満足。井関隆子日記には時代劇ドラマで見たことがあるような内容がちらほら、こちらが原作なのかも。2025/05/03
ちさと
23
公開を前提にしていない日記だからこそ、赤裸々に自由に書かれていて面白い。本書は5つの下級藩士(うち1つは恵まれた旗本)の日記を通して、江戸時代の武士の生活を紐解いたもの。当時、武士は仕事量の割に人数が多すぎたため、勤務があっても数日おき、それも半日で終わった。金銭的余裕もない中で、ならばやる事はと言えば湯屋へ行き、猥談を肴に酒を飲み、雑魚寝する。家では自炊もするし、剣術なんて習ったこともなかったりする。新渡戸稲造の「武士道」からはほど遠いのんきな暮らしぶりが綴られていて微笑ましい。あとがきがまた良い。2025/06/05
剛腕伝説
13
永井義男お得意の手法である、名も無き武士の日記を紐解き、その時代背景や慣習を推察した一冊。 タイトルにあるように『性と食』に特化したわけではなく、生活全般にわたって書いている。 渡辺崋山が、隠遁生活を送る酒井友信の産みの母親を探すくだりは、崋山の誠実な人柄が出ており、とても心地良い。2023/09/18
kenitirokikuti
9
性のいうとポルノグラフィーをすぐに連想しすぎていまい、これはこれで固定観念のとりこになっているようだ。本書が扱うのは日々の遊びや猥談、下世話なゴシップの類いである。ヒマなので、猥談の一歩手前である雑談が娯楽だって感覚は忘れてたなぁ。まぁ、いまならネット上でやるのか。2018/07/14
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