出版社内容情報
「あお」等は古来、死の世界を意味した。大島=青島、青木などの地名も古墳・葬場と関わりが深いことを検証する。
【著者紹介】
1944年生まれ。民俗研究家。 著書に、『サンカの真実 三角寛の虚構』『葬儀の民俗学』『新・忘れられた日本人』『サンカの起源』『猿まわし 被差別の民俗学』など。
内容説明
民俗学最大の問題、青地名の謎に挑む!古墳の近くに青地名?なぜ幽霊は柳の下に出るのか?「アオ」「オウ」「アワ」、「青」「大」「淡」…。なぜ地先のごく小さい島が「大島」と名づけられたのか。青木、青柳、青山、青野といった地名は、何を物語るのか。仲松弥秀、谷川健一が先鞭をつけながら筆を置いた課題を、徹底したフィールド調査と研究で立証する画期的な書。図版多数。
目次
第1章 南島からの指摘
第2章 青地名と古墳
第3章 青木地名を訪ねて
第4章 「青柳」考
第5章 青島は葬送の島であった
第6章 対岸の古墳
第7章 常世浜は村の先に位置する
第8章 日本水葬小史
第9章 茨城県・青地名の分析
第10章 墓地と葬送の場は違う
第11章 古代日本人の他界観
著者等紹介
筒井功[ツツイイサオ]
1944年、高知市生まれ。民俗研究者。元・共同通信社記者。正史に登場しない非定住民の生態や民俗の調査・取材を続けている。第20回旅の文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまご
13
「青」地名と死・葬の関係を,日本全国詳細…は無理なので,特定地域を中心に検討された本.興味深かったです.しかし,音の変化とか,江戸より前は同音異義の漢字を当て字の様に多用していたので,今「青」でも昔はどうかなーとちょっと思います.そして,平成の大合併などを経た今,確実に昔の地名が失われていってますもんね…民俗学にもつらい時代なのだなあ. 確かに,海岸からほんのちょっと離れた小さな島を神聖視するのって,よくあるような…あと湖の中の島とか.簡単に自然な結界として囲いやすいのもあるのかもしれません.2015/06/27
tom
11
「青」の付く地名は、死者を祭る土地と結びついていることを証明しようとする本。著者によれば、青色は、大昔には、黒と白との中間の範囲を示すものであり、そこから、あの世とこの世の境界を指すようになったらしい。文字による証拠はどこにもないから、頼りにするのは、ほぼ、地名だけ(地名は、長い年月を経ても、あまり変化しないのが理由)。ということで、著者は、車で寝泊まりしながら、青が付いた地名を訪れ、墓の有無を確かめて行く。すごい労作。でも、推測の積み重ねの論考。読んでいて、しんどくなり流し読みに終わる。2015/05/15
はなもんも
2
大 青 淡 とつく地名は葬送と関わりがあるのではないかという考察。 近隣の土地が例として挙げられていて興味深く読めた。 「だれかが何かに気づくかもしれないので記しておく。」という記述に好感が持てた。2015/12/06
メーテル/草津仁秋斗
2
谷川健一が唱えた、青という地名と葬送の関連性。それを深めていった本。色んな地名を元に説明しているけど、ちょっと牽強附会と言うか、無理矢理な気がするなあ。でも青と葬送の関連性自体はあってもおかしくないかもなあ、とは思う。2015/04/14
Y.C.STUPID
1
「オオ」の転訛、小さな大島、湾と島の位置関係、地名の拡大や移動、字の消失……とってもエキサイティングな内容。2017/02/27