出版社内容情報
柳田国男に『遠野物語』を語り伝えた佐々木喜善が、自ら集め自ら綴った、遠野周辺の不思議な話。天狗や河童の伝承、猟師や郵便局員の体験談、偽汽車の話といった新たな伝説も集める。
内容説明
日本のグリムが書いた、もう一つの『遠野物語』。
目次
1 山の怪異を伝える
2 遠野郷の狼を語る
3 猟師たちが自慢する
4 村の噂を話す
5 東北の文化を掘る
6 新しい伝説を集める
著者等紹介
佐々木喜善[ササキキゼン]
1996~1933年。岩手県上閉伊郡土淵村(現、遠野市土淵町)に生まれる。上京して哲学館・早稲田大学に学び、文学に志す。柳田国男に語った遠野の伝説が『遠野物語』になった。その後、病気で郷里に帰り、民俗の研究を続けた
石井正己[イシイマサミ]
1958年、東京生まれ。東京学芸大学教授。日本文学・日本文化専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
24
最近、京極氏の『遠野物語 remix』を読んだので読み比べのために借りました。元々、『遠野物語』は佐々木鏡石こと喜善の語りから柳田邦夫が興味を持ち、遠野へ出向いたことから生まれた。そのため、『遠野物語』から省かれてしまった郵便の遅れによる一家惨殺や鉄道にばけた狐など明治特有の事象が紛れ込む。そこには「古き時代こそ良いのだ」という、「遠野=妖怪の故郷」という構図や遠野の伝承の語りの要求に遠野の人々は反発を示したような都会ならではのノスタルジーはなく、遠野も文明開化に伴う影響を受けて変わっていたことを示す。2013/08/22
アカツキ
10
佐々木喜善全集から雑誌掲載された記事を読みやすく改めたもの。明治から大正にかけての話で、天狗や河童などの怪異、狩猟、殺人事件など幅広い。郵便収集人一家の悲劇も凄惨だったが、飢餓が村を襲った時の話に絶句。人肉目当てでなく、腹の中に入っている飯が食べたいで殺されるとは思わなかった。「聴耳草紙」で村が飢餓に襲われた時に子供の口減らしをした話があったが、それが佐々木喜善の親戚筋の話だと知って驚く。2023/11/24
hannover
4
遠野物語に収録されている話もかなり収録されていて読み比べてみると興味深いです。柳田国男の本に比べると文学的価値は低いかもしれませんが、こっちの方がよりありのままの遠野を伝えようとしているような気がします。2013/01/11
金目
3
”日本のグリム”佐々木喜善が方々で聞いてきたお話の色々。オチもなければ教訓もない、民話と都市伝説の境目みたいなあれこれ。ずいぶん色んな人に話聞いたもんだ2018/04/20
にゃも
3
遠野物語の語り部である佐々木喜善が遠野について自ら綴った記事をまとめた本。よくもまあこんなにたくさんの話をあつめたもんだと感心してしまう。やっぱり遠野は魅力たっぷりだ。2016/09/14