出版社内容情報
【目次】
内容説明
国家が分裂し断片化した近未来世界。プーチン、トランプ、メルケル、アベなど、尻のような姿をしたG8元首脳のクローン(pb=政治的存在)たち。彼らを治療するサナトリウム院長ドクトル・ガーリンは、アルタイ共和国への核攻撃をきっかけに、北へ向かうことを決意する。身の丈3メートルを超すバイオ巨人、バービー人形のような女神を信奉する〈自由〉という名のアナーキストキャンプ、帝政期ロシアの貴族のように暮らす伯爵一族、カザフスタンから来る麻薬販売キャラバン、多種多様な人間的存在が登場する見世物サーカス、白いオオガラスへの崇拝…。『青い脂』『氷三部作』『吹雪』など、圧倒的な想像力で世界を震撼させてきた作家が描く愛の物語。
著者等紹介
ソローキン,ウラジーミル[ソローキン,ウラジーミル] [Sorokin,Vladimir]
1955年ロシア生まれ。70年代後半からモスクワのコンセプチュアリズム芸術運動に関わる。85年、当時のソ連を象徴する風景を戯画化した作品『行列』を発表し、欧米で注目を集める。2010年には『氷』でゴーリキー賞、『吹雪』でNOS賞受賞。英語圏などでも高く評価され、2014年度国際ブッカー賞最終候補。2020年には『吹雪』でスーパーNOS賞受賞
松下隆志[マツシタタカシ]
1984年生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。岩手大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雨松
3
感想を書くのが正直難しい。訳者の解説によると、お伽話の要素が組み込まれたソローキン流マルチバース小説。近未来SF要素はあるが、この小説の世界は現代より退行した文化や生活があって、世界も民族単位の小国に分裂している。コロナ禍の2021年に発表されたが、今、読んだほうがいい。トランプは再び政権を取ったし、シンゾーサンはいなくなった。ドクトルは様々な局面で大変な目に遭っていくが、この有り得そうもない世界が、もしかしたら有り得るのかもしれないと、そう思わせる力が作品にはある。続編『遺産』に期待。2025/09/10
孔雀の本棚
2
https://note.com/mikiosunn/n/n7a89974752362025/09/07
えっ
2
ソローキンの新しい本が読めている事がまず嬉しい。2021年にこれを読んでいたら、数年後驚いただろうな。吹雪の続編ではあるものの、随分雰囲気が違う。青い脂、テルリア、親衛隊士の日で覗いた世界は更に広がりを見せていた。様々なテクストがコラージュされるスタイルも氷三部作を経てより滑らかに物語に組み込まれる様になっていて、テクニック総まとめの趣。マヤコフスキーがこの形で出てくるとは思いもよらずだった。今回も表紙が強烈で中身に引けを取らない。好きさで言うと読んだ中の一番ではないがかなり最高。2025/09/05
せめてものパセリ
1
吹雪の続編。が、訳者あとがきにあるように、吹雪とは少しずれた世界線の話かもしれない。あの怒りっぽくて、すぐに誘惑に負けるガーリンはどこへ。今作では、意志の強いガーリンが見られた。そして吹雪以上に大変な目に遭っている。さらなる続編遺産が日本で無事刊行されますように。2025/09/10
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