内容説明
日本のポピュラー音楽は、ついに「洋楽コンプレックス」から解放されたのか?ジャズ、ポップス、フォーク、ロック、そしてヒップホップ…あらゆるジャンルで「本場」に追いつき・追い越すことを目指してきた日本のポピュラー音楽。世界有数の音楽消費大国となった現代に至るまで、私たちは洋楽からどのように影響を受け、自分たちの音を追い求めてきたのか?近年進む「ドメスティック化」は、洋邦の差異が克服されたことを意味するのか?史学、文学、社会学、カルチュラルスタディーズ等の多様な視点から、これまでにない日本人とポピュラー音楽の関係を提示。
目次
序章 洋楽コンプレックス
第1章 ジャズの貫戦的熱伝導―ジーン・クルーパ・トリオ来日公演にみる熱狂的実演文化の原風景
第2章 ビートルズが教えてくれなかったこと
第3章 日本のロック黎明期における「作品の空間」と「生産の空間」
第4章 「洋楽の音」の追求と都市型音楽―牧村憲一氏インタビュー
第5章 ファーザーズサン―加藤典洋と浜田省吾
第6章 東京のストリート・ジェネレーション
第7章 フジロック、洋邦の対峙
第8章 Jポップを輸出する―「音楽メディア」としてのアニソン
第9章 ウェブ的音楽生活における洋楽の位置
著者等紹介
南田勝也[ミナミダカツヤ]
武蔵大学社会学部教授。博士(社会学)。専門は音楽社会学、現代社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
1959のコールマン
44
☆4.5。ベストは高橋聡太氏の「ジャズの貫戦的熱伝導」。日本のジャズ史で無視されていたジーン・クルーパの事と、トリオで来日した時の日本人達の反応を中心に記したものだが、こんなに戦前、戦後と大きく受け入れられていたとは思わなかった。というか私はジーン・クルーパの名をこの本で知った。ジョン・ボーナムにも影響を与えたらしい。他には日高良祐氏の「Jポップを輸出する――「音楽メディア」としてのアニソン」、土屋臣吾氏の「ウエブ的音楽生活における洋楽の位置」、永井純一の「フジロック、洋邦の対峙」あたりが面白かった。↓2020/02/14
himehikage
8
実はもっと個人的な体験談をもとにした内容を期待してしまった。共感したかったのだ。しかし、真面目な社会学の本だったのは勘違いした自分が悪い。ずっと洋楽ばかり聴いて育ってきたので知らなかったけど、佐野元春と浜田省吾のスタンスの違いは面白いね2019/05/20
林克也
2
これは社会学の論文だ。ブルデューを基礎にして論考したニッポンのロックのクロニクル。伊沢修二や三浦環、ジョン・ボーナム、そしてビートルズ、はっぴいえんども脇を固める。面白かった。 なかで、「ビートルズがアイドル的イメージから脱皮して急速に変化していくのは、訪日後のフィリピンとアメリカのツアー以降、ライブ活動を取りやめてからである」というのがあったが、そう、これはその通りで、自分もここで言うアイドル時代のビートルズほとんど聴かない。いや、聴けない。 さあ、Abby Road聴いて寝よう。 2022/12/03
寺基千里
1
本著を読みながら、個人的に洋楽を聴かないのは何故なんだろうという問いを持っていた。それに対する回答は本著の最終章で書かれていた音楽に対する「共感」が大きいと思う。 邦楽は日本語で描かれ、歌われるからこそ馴染みがあり、そこに感情を入れ込むのは容易い。自分のリスニング環境を振り返ってみるに、自分を奮い立たせたい時、しっとりと浸りたい時など感情に則って聴く場面が多い。だからこそ、日本語で分かりやすく歌われる邦楽に浸かってしまうのだと思う。 2020/11/14
Masaya Fujii
1
序章「洋楽コンプレックス」 第2章「ビートルズが教えてくれなかったこと」 第3章「日本のロック黎明期における「作品の空間」と「生産の空間」」 第5章「ファーザーズサン――加藤典洋と浜田省吾」 第6章「東京のストリート・ジェネレーション」 第7章「フジロック、洋楽の対峙」2019/05/16