内容説明
家を去った放縦な長女への三兄弟の激しい想いを軸に破滅の宿命を負うアメリカ南部の名家の悲劇を描く、痛ましくも美しい愛と喪失の物語。
著者等紹介
フォークナー,ウィリアム[フォークナー,ウィリアム] [Faulkner,William]
1897‐1962。アメリカ合衆国ミシシッピ州生まれ。同州北部の町オクスフォードで生涯の多くを過ごす。高校中退の後、軍隊や大学を転々としながら詩や散文の執筆を手がける。1924年、最初の詩集『大理石の牧神』を発表、26年には最初の小説『兵士の報酬』を発表する。50年にはノーベル文学賞を受賞、世界文学を代表する作家となった
桐山大介[キリヤマダイスケ]
1983年神奈川県生まれ。アメリカ文学研究者。学習院大学准教授。専門はW・フォークナー、R・エリスンなどのアメリカモダニズム小説(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
20
【ガーディアン必読1000冊】いやあ難しかったですよ。意図的な語り手の変更やら伏字やら。癖が強い。2025/04/05
kero385
18
昨年の9月30日に出版された「響きと怒り」最新の邦訳。まだ40代の若い研究者桐山大介氏の翻訳。是非読みたいと思っていた。私は英語ができないので訳業を云々する資格はないけれど、とても読みやすい。平易と言う意味でなく、日本語としてこなれている。また作品の味わいを損なう分かりやすさでもない。初めて「響きと怒り」を読む方にはおすすめかと思う。ところで、大抵の人が、初読の時挫折する(私も挫折した)冒頭のベンジーの章、語り手のベンジーをはじめ登場人物のほとんどの泣き声や嘆きが至る所で聞こえる悲惨な音調の章だけれど、2025/01/16
Qfwfq
4
一読だけで感想を述べるのもおこがましいのだけれど、とりあえず一筆。 海外小説を読んでいると、この場面の原文ってどうなっているんだろう?と思うことが時々あるのだけれど、本作の第一章、第二章などはその最たるもの。系図を書いたり、メモを取りながら、時間も場所もバラバラな断片を再構築して読み進む。読みやすくなってきたとはいえ、続く第三章にしたって、なかなかの暴れっぷり。だからこそ、最終第四章の黒人使用人たちの語り口が、アメリカ南部の屈指の名家の暗澹たる凋落をいやが上にも浮かび上がらせる。再読必至の桁外れな傑作。2024/11/07
すこーん
3
読書会の課題本になって読了。初のフォークナー。一読目は何が書かれているのか理解に苦しみ、解説を読んでそれぞれの兄弟の視点から書かれた4日間の話だと理解してからは「フォークナーすごい!」となりました。2025/02/04
Eu
3
フォークナーってめちゃくちゃ不親切なイメージがあって、実際めちゃくちゃ不親切なのだけども、それでいてけっこう楽しく読めるのが不思議だった。親切に書かれすぎたものが退屈になるのはよくわかるけど、ではこの楽しさは単純にその逆のものなのかというとそうでもない気がする。正直読破できると思ってなかった。不思議な作家だな……2024/11/13