出版社内容情報
「これは子宮の戦争なのよ」湖南省益陽の農村に生まれた五人姉妹。”生命最初の繁殖地”を巡り、一人っ子政策から少子化対策までシステムに翻弄される激動の運命とは。破格のエンパワー小説
著者情報
中国湖南省出身。1970年代生まれ。これまで9作の小説を発表。英国を始め各国で翻訳され受賞歴多数。本作が長編初邦訳。
内容説明
中国湖南省益陽の農村に生まれた初家の四世代の女たち、五人の姉妹。“生命最初の繁殖地”をめぐり翻弄され躍動する運命とは―。
著者等紹介
盛可以[セイカイ]
1973年、中国湖南省生まれ。『北妹』『水乳』などこれまで9作の長篇を発表。英国を始め各国で翻訳され、受賞歴多数。『子宮』が長篇初邦訳となる
河村昌子[カワムラショウコ]
1969年生まれ。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程修了。博士(人文科学)。明海大学外国語学部中国語学科教授。専攻は中国近現代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとうしん
18
湖南省の農村の五姉妹を中心とする、初家の四世代の女性たちの物語。時代的には改革開放以後の話となるが、街は発展し、国家の制度は変わっても人々の意識はなかなか変わらない。姉妹は故郷に残った者もおれば、出稼ぎ的に都会に出て行く者、都会で高等教育を受け、そのまま都会で暮らし続け者といった具合に立場は様々で、それぞれ男性関係と「生育」をめぐって苦しむことになる。目を惹くような伏線や謎解きがあるわけではないが、彼女たちの生き様はとにかく読ませる。2022/11/12
えりまき
17
2024(31)盛可以さん、2作目。感動しました。近現代の出来事で驚き、女性差別の話なのでイライラモヤモヤしますが、共感です。「昨日の晩よく寝たら いっぺんに目が覚めた いったいなんで北京にきたのかね (略)でもここには来たかいがあった 出てこなければ目が覚めなかった でてきたからあんたたちがみんなこんな生活をしてて 本当に自分の人生を生きているのをみれた 誰もあんたに要求しない 誰もあんたを管理しない 誰もあんたをみはったりしていない とにかく自由自在だよね」。他の本も読みたい。 2024/02/11
ヒヨドリスキ
12
纏足のゴットマザーから始まり、現代を生きる孫・曾孫までの出産・子宮を巡る家族の物語。中国農村は子ども産み過ぎないように子宮リングや卵管結紮(卵管の端を縛る)聞くだけで痛そうな😭手術や中絶が横行していて、予後に苦しんで一生を終えたりする話が痛々しい。そんな中で経済力を付けて男に頼らず生きようとする孫世代の女達のもがきが好い。中国で性をテーマにした本が有るとは思ってなかったけどとても好かった。2023/02/28
鳩羽
11
纏足をした清朝の女だった偉大なる祖母、大人しい寡婦である母、五人の姉妹と婿たち、弟、その嫁、孫たち、といった、中国の農村に暮らす初家の物語。一人っ子政策のため、卵管結索や子宮リングが当たり前で、そのための身体的な苦しみや、女としての望みが相反したりすることが、それぞれの人生を選んだ姉妹を中心に語られる。食べることと働くことと同列に語られる夜のこと、時代が進み、近代的な考えを持つようになっても、子宮なしで人生を設定することの難しさが切実に、けれど少しのおかしみを持って書かれていて読み応えがあった。2023/03/19
Ducklett21
10
中国の地方の4代にわたる大河ドラマ!田舎で生まれた女性がくぐり抜けなくてはならないリアリティーが丁寧にじっくりと描かれていて、3冊分は読んだ感あります。才覚ある女性たちですが、それぞれが異なる運命の巡り合いに翻弄されている。しかしその中を泳ぎ切る力強さがとても頼もしい。一人っ子政策については知っていても、その下で暮らす人々の様子は知る機会がなかったのですが、リアルに描かれていいます。テーマはまさに子宮!戦前から現代までの女性たちの逞しい生き様、もっと話題になっていいと思う。おすすめです。2023/03/24