出版社内容情報
オリガ・グレベンニク[グレベンニク オルガ]
著・文・その他
奈倉 有里[ナグラ ユリ]
監修
渡辺 麻土香[ワタナベ マドカ]
翻訳
チョン・ソウン[チョン ソウン]
翻訳
内容説明
子どもたちの腕に名前と生年月日、連絡先を書いた。万が一、死んでしまっても身元が分かるように。2児の母の絵本作家が記す、地下室での避難生活から国外への脱出まで。
著者等紹介
グレベンニク,オリガ[グレベンニク,オリガ] [Grebennik,Olga]
1986年、ウクライナのハリコフ(ハルキウ)生まれ。大学では建築学を専攻し、現在は絵本作家、イラストレーター、アーティストとして活動している。9歳の息子と4歳の娘の母(2022年4月現在)。『ママ、怒らないで』などの絵本を出版。彼女が挿絵を描いた本はすべてベストセラーになり、イラスト作品も世界各国で人気を博す
奈倉有里[ナグラユリ]
1982年東京生まれ。ロシア国立ゴーリキー文学大学卒業、東京大学大学院博士課程満期退学。博士(文学)
渡辺麻土香[ワタナベマドカ]
神奈川県横浜市生まれ。東京女子大学現代文化学部卒業。書籍やウェブ小説、テレビ番組の字幕など幅広いジャンルの翻訳に携わっている
チョンソウン[チョンソウン]
ロシア文化の専門家でおもに執筆や通訳・翻訳を行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
190
ウクライナ人絵本作家の戦災絵日記、市井の人々のロシア軍ウクライナ軍事侵攻のリアル&悲惨さが伝わってきます。 プーチン&ゼレンスキー&世界中の愚かな権力者たちは、本書を読んで猛省いただきたい。 Love&Peace https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000425.000012754.html2022/11/24
keroppi
85
鉛筆一本で綴られるウクライナの家族の日記。ロシアのウクライナ侵攻によって地下壕での生活、家族との別れ、難民生活を強いられる絵本作家。泣き叫びたいのに子供を前にしては叫べない。ただ絵にとどめるしか出来ない。その絵は、苦しいはずなのに、なぜか優しさを感じる。また母語がロシア語の著者は、ロシア語で書く。民族や言語で差別されてはいけないのに。様々なニュース映像でも見てきた状況だが、絵はそれ以上のものを訴えてくる。著者がまた色彩あふれる絵本が描けるようになることを祈るばかりである。2022/10/05
ナミのママ
74
『アンネの日記』は過去の出来事ではないと驚く、タイトルどおりの『戦争日記』。2022年に書かれたこの作品、著者はその日までウクライナで家族と暮らし将来を語っていた。明け方の爆音から一転する生活は、それでもはじめは「すぐに終わる」とも思われた。しかし『わたしたちの街は、軍隊の射撃場になってしまった』…なんと悲しい姿だろう。目をつむり自分の街を想像してみる、涙が出る。現在は子どもと共にブルガリアに逃れているが、ウクライナには身体の不自由な祖父母と母、そして夫がいる。戦争は誰も幸せにしない。2023/09/01
けろりん
64
''わたしは子どもたちの腕に名前と生年月日、連絡先を書いた。「どうして、そんなの書くの?」「遊びをしているの」「何て遊び?」「『戦争』っていう遊びよ」''つい先程まで穏やかに流れていた時が、未来が、受け入れ難い現実に端から押し流されて行く。爆撃に脅かされる地下室から脱出、行先も分からぬ列車に飛び乗り、祖国を、愛する夫を、高齢の母を置いて、子どもたちの命を守るため、遠い異国で「難民」となった母は、スケッチブックに鉛筆で日記を描いた。同じ空の下、どれ程の日記が、恐怖に滴る汗で、血で、涙で綴られている事だろうか2023/01/22
空猫
51
戦争って、本当に突然の爆撃から始まるのだね。そして築いて来た過去が、希望ある未来が、夫と二人の幼い子供との平和な暮らしが、一瞬で破壊されて。体の不自由な祖父母とその介護のために母はそのまま避難できず、夫は国外に出れず。そうして家族とも離ればなれに。彼女と子供達は異国で難民となり穏やかに暮らせているが…。こんな悲劇と暴力が未だに続いているなんて…(´д`|||)…「人間を言語や民族で分けてはいけない」のだ。絶対に。2022/10/27