出版社内容情報
2028年に復活した「帝国」では、皇帝の親衛隊員たちが特権を享受していた。現代文学のモンスターが放つSFナンセンス長篇。
【著者紹介】
1955年ロシア生まれ。コンセプチュアリズム芸術運動に関わったのち、83年『行列』で作家デビュー。「現代文学のモンスター」の異名をとる。主な作品に、『ロマン』『青い脂』『氷3部作』、短篇集『愛』など。
内容説明
二〇二八年のロシア―。復活した“帝国”で特権を享受する親衛隊士たち。貴族屋敷への押し込み、謎の魚の集団トリップ、不思議な能力をもつ天眼女、ちらつく中国の影、蒸し風呂の儀式…。『青い脂』の怪物が投じる近未来のあやしいヴィジョン。
著者等紹介
ソローキン,ウラジーミル[ソローキン,ウラジーミル] [Сорокин,Владимир]
1955年ロシア生まれ。70年代後半からモスクワのコンセプチュアリズム芸術運動に加わる。83年、当時のソ連を象徴する風景を戯画化した作品『行列』を発表し、欧米で注目を集める。2010年に『氷』でゴーリキー賞受賞。英語圏などでも高く評価されている
松下隆志[マツシタタカシ]
1984年生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
55
ウクライナ問題が騒がしい現在、タイムリーな一冊。帝政に戻ったロシア、そこで活動する親衛隊士の一日を描いた物語だが、『愛』からソローキンに入った身としては、ストーリーが最後まで続いていた事にまず驚かされる。いやそれが普通なんだろうけど、妙に警戒して読まざるを得ないのよね、この作者。それでもチョウザメでのトリップや、みんなで輪になって男色とかはこの作者らしいというか何というか。それでもロシアの現状への風刺というのが前面に出すぎていて、遠い東の国の人間としては全体的にピンと来ない部分が多々あった。えんやさ!2014/04/30
Vakira
50
ソローキン理解しようとして読んでみる。短編集「愛」に比べたら入りやすい世界。それほどブッ飛ばずにすみました。時は2028年、しかしSFではない。時代錯誤の専制政治が何故か復活した封建的な未来のロシア。階級制が設けられ、貴族と平民の生活の差は大きい。大統領が巨大な権力を振るい、親衛隊士は地域毎に絶対的支配をしている。しかしその行動は矛盾だらけで、現在のロシアを風刺している様にも思える。唯一のSF感はドラッグトリップ。薬ではなく、生物。生物を注入してハイになる。本のカバー絵はチョウザメですが、これが・・・・2015/04/22
燃えつきた棒
40
ロシア文学界の暴れん坊ソローキンが、「プーチンのロシア」の明日を、あくまでも過激に扇情的に思う存分描いて魅せた。/ 物語成立の背景に少し触れたい。 1999年、ロシア高層アパート連続爆破事件がモスクワなど3都市で発生すると、プーチン首相はチェチェン独立派武装勢力のテロと断定。この事件と、チェチェン武装勢力のダゲスタン侵攻を理由にチェチェン侵攻を再開する。第二次チェチェン戦争である。プーチンの対チェチェン強硬路線は国民の支持を集め、彼を大統領の座に押し上げる。→2022/05/16
キジネコ
33
イワン雷帝の怨念の如き専制政治をしく未来のロシア、ゴシック趣味のカピタンと絹のシャツを身に纏う妖しの集団は君主の親衛隊。公然隠然問わず陰謀・粛清を実行し「君主への忠誠」の名のもとに私腹を肥やし退廃の限りを尽くします。ふんだんに使われる暗喩・比喩。ことわざや慣用句・古の文豪達の言葉のもじりも至る所に配されて、その上 造語と思しき正体不明の語句も頻出するという厄介、めんどくさい物語。長きに渡るプーチン支配のロシアの現状に対する 趣味の悪いパロデイなのか?それとも辛辣な諷刺?オススメは・・どうしたもんかしら・・2013/11/28
のりすけたろう
31
久々のソローキン💕めちゃくちゃ面白かった✨今でも頭の中でえんやさ!えんやさ!が響いてます。帯に書いてあるのは、どこで出てくるのかな?と思いながら読んでたら唐突に出てきて、大興奮しちゃいました\(//∇//)\笑 期待を裏切らないソローキン💕次は何読もうかな?✨2021/04/28