内容説明
病身の妻を抱え心身が不安定なまま、重罪裁判所のグザヴィエ・ローモンは、妻殺しのランベール事件の裁判にのぞむ。被告は一貫して無罪を主張しているが、公判関係者は、ローモンを除いて全員、被告が犯人だと信じている。判事、証人、陪審員、被告、弁護士それぞれの過去と日常と内面がせめぎあう、スリルとサスペンスにあふれた審理の果てに、意外な結末が…。
著者等紹介
シムノン,ジョルジュ[シムノン,ジョルジュ][Simenon,Georges]
1903‐1989。フランスの小説家。ベルギーのリエージュの貧しい家庭に生まれる。十五歳で学校をやめ、パン屋、本屋などに勤めた後に十六歳で地方紙の記者になり、十八歳で処女作『めがね橋で』を発表して作家デビュー。二十六歳に発表した『怪盗レトン』からはじまる『メグレ警視シリーズ』は八十四篇を数え、各国語に翻訳されて世界的な名声を博す。生涯で三百点を超える作品を発表
野口雄司[ノグチユウジ]
フランス文学翻訳家。1956年、大阪大学文学部仏文科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
15
1955年の小説。メグレ警視始め著者作品は全く初めてだが、この作家に導いてくれた読メに感謝する。舞台はフランス。パリ郊外の小さな町で自堕落な夫婦のうち妻が殺され夫が訴追される。フランスの陪審裁判で、しかも昔の事だから今はやり方が変わっているだろうが、予審裁判の後、重罪裁判として書類が回され裁判が始まる。陪審が検事や弁護側に挟まって質問を行う等、英米推理小説と異なっていて珍しい。裁判長が主人公で彼の視線で全て記述されるのも斬新である。人と人との関係は所詮不可知であり、この下で人を裁くことの難しさがよく分かる2023/05/25
greeneggs
3
「青の寝室」に紹介されていたので手に取った。裁判官ローランの視点で妻殺しの被疑者ランベールの裁判について。陪審員制度についての小説やドラマはアメリカの作品で見慣れているが、この小説はドラマチックさはなく地味。だからこそ余計に身近に感じた。2025/03/12
Hotspur
2
シムノンの小説は決して柄が大きいものではない。しかし、シチュエーションを構築する手際は圧倒的。 この作品では、人が他人を理解する困難さが説得力を持って描かれる。2018/08/04
みろひき
1
日本でも裁判員制度が始まったけど、まさしくピッタリの内容。読んでみて、人を裁いた経験も無い人がその場で初めて被告を目の当たりにして、その人の一生を決める決断を下す事ってできるの?と深く考えてしまった。2009/07/19
デナーダ
0
予想外に面白い2009/05/12
-
- 洋書
- L'ART NEGRE
-
- 和書
- 魔術師 〈上〉 河出文庫