内容説明
ある朝バケツ一つだけを持って商店街に佇んでいるのを発見された女の子。14歳という自分の年齢以外何も語らず、施設に入れられたが―リリカルで洗練された語り口で綴られる現代のピーターパンの孤独。もう一度、子ども時代をやり直すとしたらあなたはどこから始めるだろうか?ドイツ新進作家、衝撃のデビュー作。
著者等紹介
エルペンベック,ジェニー[エルペンベック,ジェニー][Erpenbeck,Jenny]
1967年、ベルリンに生まれる。製本店の見習いや、ベルリンのオペラ劇場で小道具係や衣裳係の仕事に就いたあと、大学で演劇学を専攻。1991年以降は演出助手として働き、さらにベルリンやグラーツ(オーストリア)でのオペラや演劇の演出も手がける。作家・演出家として、現在はベルリンで活動中。『年老いた子どもの話』でデビュー
松永美穂[マツナガミホ]
愛知県生まれ。東京大学大学院博士課程満期退学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
243
本書がジェニー・エルペンベックの小説としてのデビュー作。元は演劇畑の人。主人公は「その子」と呼ばれたり「女の子」と呼ばれたりするが、名前はとうとう最後まで明かされることはない。どこからやって来たのかも、正確な年齢もわからないのだ。14歳として保護され、施設に入れられるが、そこでも主体的な行動はほとんど見られない。したごって、その特性も不明である。そうした意味では、女の子として抽象化された存在であるとも言える。なにしろ、彼女はその属性を可能な限り捨てているのだから。仮にそうだとして、ではそのことで周囲の⇒2026/01/29
NAO
62
ある夜商店街の道路に立っているところを発見され、14才ということ以外何一つ思い出せなかったため児童養護施設に保護された大柄な女の子の話。後半での記述表記からこの町がドイツのドレスデンであることがほのめかされ、この女の子は戦争孤児として保護されたらしいことがわかる。彼女が自分の年以外何も覚えていないと言っても不思議がられなかったのもそのためだろう。最後にこの女の子の正体がわかるのだが、彼女がこんなことを企てるにあたっては、母親への強い屈託があったようで、彼女が道路に立つまでの物語を知りたいと思った。2022/11/21
空猫
27
何とも不思議なお話で感想が書きにくい。「14才」ということ以外忘れてしまった女の子が保護され孤児院で暮らす様子がずっと描写される。ドイツで実在した女の子を題材にした小説。ラストで意外な真相があるも消化不良。ドイツ人にしか、解説を読まねばよく分からなかった。ドイツにはバケツに関する諺が多い事はよく分かった。2021/02/05
かもめ通信
20
「もう一度、子ども時代をやり直すとしたらあなたはどこから始めるだろうか?」という帯のキャッチに惹かれて手にした本。輪廻とか転生とかいった話なのか?と思いながら読み進めるも、薄い本なのに最後の最後まで先が見通せず、読み終えた後もあれこれと思い返して反芻してしまう不思議な読み心地。2023/10/22
アイアイ
19
路上で空のバケツを持った記憶喪失の14歳の「少女」が児童養護施設に入れられる。9912番の服を縫い付けられ鏡の無い規律厳しい規則の中で暮らす。 わざとらしい程の劣等生になろうとする態度に他の捨て子から反感を買い「罰を与えても改善できる見込みのない」事を教師や指導員に示し一番弱い存在になろうとする。舞台は統一されてない時代の東ドイツ。 病によって病棟に移った時、少女の正体が明かされる。▽図書館2015/10/21




