内容説明
「あなたは母の愛人だったんですか?」突然現れたパイロットのひとことから愛の地獄めぐりが始まった…。ポストモダン・ゴシックの旗手、パトリック・マグラアの描くミステリアス・ロマンス。
著者等紹介
マグラア,パトリック[マグラア,パトリック][McGrath,Patrick]
1950年ロンドンに生まれる。精神科医の父親が勤める精神病院の近所で育ち、中には犯罪者もいる患者との交流や、耳にしたさまざまの凄惨な話が少年期の彼の心に深い影響を残したという。ロンドン大学では英文学の学位を取得。10年ほどの放浪生活をへて、ニューヨークで作家生活に入る。1988年刊行の処女短篇集『血のささやき、水のつぶやき』がC・バーカーに激賞され、書評誌をにぎわしたのを受け、翌年には処女長篇である『グロテスク』を発表。ポストモダン・ゴシックの旗手として活躍、独特の知的で凶々しい世界を築き上げている
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
26
老いた腐臭描写が鮮烈に描写されていた『失われた探検家』に衝撃を受けたので図書館で「マグラア」の名を見つけた途端、手が伸びていました。父が解剖学者だったフローベルを連想させる臨床描写と堕ちた飛行機の焼け焦げるような匂いがまたもや、鮮烈。そして「信用できない語り手」による語りに眩惑効果も強烈です。彼がかつての恋人だった人妻の息子にストーカーのように執着するのは彼女の身代わりとしてか、それとも彼の性癖が現れたためか?2013/08/05
ルミ
1
原題はDr. Haggard's Disease. 海辺の町で診療所を開く男の年上の女性との出会いから別れまでを、彼女の息子<おまえ>に語りかける形式で書かれている。邦題から受ける恋愛小説めく語りがこのまま続くのかと訝しく思いながら読み進めるうち、最終数十ページでマグラア節全開!スパイクという言葉が印象的に残る。2018/01/29
sundance1973
1
マグラア版、ゴシック風味の『情事の終わり』といった感じ。イギリスの片田舎、海辺に立つ屋敷で、過去の情事の顛末が、ゆったりと散漫な語り口で綴られていく。『グロテスク』、『スパイダー』と違い、ミステリの核となる殺人事件はないのだが、お得意の叙述トリックも冴えていて、最後までまったくだれることなく、マグラアの語りの巧みさを堪能できる。クローネンバーグ監督で映画化されたらおもしろそうだなあ。
ミンガラ
0
話のテンポが合わず途中でやめたくなった2015/05/10
fumi
0
あまり好きな作品ではないのに、読んだことを忘れて、また図書館で借りて読んでしまった。2012/02/16