内容説明
陰謀と裏切り、戦乱と飢饉、ペストと狂気―。スペイン軍支配の下、あらゆる邪道のはびこる17世紀北イタリアを舞台に、若い恋人たちが織りなすスリリングな愛の逃避行。長編小説の醍醐味が満喫できるイタリア文学の大傑作。読売文学賞、日本翻訳出版文化賞、ピーコ・デッラ・ミランドラ賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
45
17世紀のミラノを舞台にした、横暴な領主に結婚の邪魔をされたレンツィオとルチーアの物語。30年戦争の真っただ中、国は荒れ、権力者たちは国中に溢れた無法者たちを自らの館に寄生させて、横暴の限りを尽くしている。本当は庶民の味方であるべき役人や弁護士、司祭までもが、この権力者にこびへつらっている。こういった悲惨な状況にあっても自分たちの信仰と信念を曲げない主人公二人の姿から、目が離せない。彼らを見守るカプチン僧や修道女などにも訳ありな人々が多く、彼らが今後どうかかわってくるのかも気になるところだ。2016/01/21
ケニオミ
11
随分昔に必読書であることを知り、近隣の図書館でリサイクル本であったのをレスキューしてきましたが、今の今まで読む通すことができなかった本です。必読書と言われているだけあり、楽しみながら上巻を読み終えることができました。感想ですが、ローマカトリックのお膝元のイタリア・ミラノでは、やはりキリスト教が生活の根底をなしているなあと感じられたことと、そのお膝元でも、その教えに反する輩は履いて捨てるほどいるなあということでしょうか。運命のいたずらで、結婚の契りを結ぶことができなくなった二人。結ばれる下巻が楽しみです。2018/06/12
メルコ
10
「17世紀前半のミラノ郊外が舞台。結婚の約束をした若い男女に、横恋慕した領主が横槍を入れたことで別の土地に逃避することになる」コロナ禍になり、メディアに取り上げられていた長編。19世紀の小説の例に漏れず、微に入り細に入った文章で事の顛末、人間関係を書き連ねていく。牧歌的な雰囲気のあるなか、実に人間くさい物語が繰り広げられる。悪巧みにたけた領主が敵役で、策略をめぐらせて結婚寸前の二人の仲を裂こうとする。二人は人徳ある神父に助けを求め、別の土地に向かうことになる。要の物語は単純であるが、風景、性格など事細かに2020/12/17
ペミカン
9
清水義範「世界文学必勝法」で知ってぜひ読みたくなりました。なんと久々に面白い世界文学、清水先生ありがとう!! 17世紀のイタリア人も今の日本人と全く変わらない。。権力者との位置関係、どうしようもない世間・・<要するにこの大衆というのは風の吹きまわし次第で役者でもあれば見物人でもあり事を運ぶ上の道具でもあれば邪魔者でもあった>等々・・やや長すぎる所もあるけれど、キャラの善悪に関わらず心理描写も奥深く味わえました。下巻がとても楽しみです。2023/10/03
-
- 和書
- 図説日本史通覧